豪州70万人へ、座席増など追い風に-各州に聞く現状と戦略
新規就航も積極誘致、業界向け活動の強化も
▽クイーンズランド州政府観光局
州全体では、ブリスベン線復活以外にもJQがケアンズ線の機材を大型化。まずは座席数の維持が重要だが、クイーンズランド州政府観光局の西澤利明氏は「過去には1日4便飛んでいたこともある。あたふたする必要はない」と語り、落ち着いた対処を呼びかける。
現状としては、ブリスベン線の就航を受けて州政府から3ヶ年の特別予算が配分されており、すでに東京でプロモーションを展開。今後も消費者向けの告知や旅行業界向けのセミナー、FAMツアーなどを実施する。
なお、クイーンズランド州でもEPAの効果は表れており、資源や建築などの業界で業務渡航の需要が増加。レジャーと業務渡航、親族や友人を訪ねるVFR需要、そして現地発の訪日需要で路線を維持する。
▽ゴールドコースト
ゴールドコースト観光局の小林芳美氏によると、2010年に日本航空(JL)のブリスベン線が運休し、FSCによるアクセスが難しくなって以降、ハネムーンやグループ、教育旅行などの需要が一部逃げてしまっていたといい、QFの復便で回復をめざす。すでに旅行会社からはインセンティブの見積もり依頼などが増えているとの報告もあるという。
小林氏は、「昔のパターンに戻るのではなく、いかに新しく、より面白いパターンを作るか」が重要との考えで、例えば、ブリスベンに入ってからゴールドコーストへ移動するまでにマウントタンボリンやサンクチュアリコーブ、ワイナリーに立ち寄る旅程を提案する。
また、消費者向けに、ハネムーンとウェディングに焦点を当てたプロモーションも実施中。JL運休の影響が最も大きく出たセグメントであり、さらに一生に一度の旅行先として選ばれることは他セグメントへのアピールにもなることを意識している。このほか、昨年完成したトラムでの街歩きを軸に、ショッピングセンターやカジノの大規模改装など各種の開発計画も発信していく。
なお、2016年のATEはゴールドコーストで5月に開催される。
▽ケアンズ
ケアンズへの誘客を担うトロピカル・ノース・クイーンズランド観光局(TTNQ)では、昨年12月に坂本統氏が日本市場担当者として就任。日本市場は、直近では回復基調にあるものの「波がある」ため、安定化ををめざす。
ターゲットは、「ハネムーン&カップル」「ファミリー」「教育旅行」。特に訪問者の85%が旅行会社経由という特異性に留意し、引き続き旅行業界を重視して活動する。また、ケアンズとしてのブランディングも進めたいとの考えで、例えば米国であればニューヨークやラスベガスへ旅行に行く、と周囲へ説明するように、「オーストラリアに行く」から「ケアンズに行く」へと深化させたいという。
このほか、ケアンズに就航するJQのビジネスモデルに合わせた商品の開発や流通が進むような工夫もしたい考え。なお、日本市場への予算は「増えることはあっても減ることは絶対にない」とした。