トップインタビュー:H.I.S.ANAナビゲーションジャパン代表取締役社長の深木重和氏
HISとANAセールスのリソース活用で訪日誘致
地域連携を強化、地方都市への需要拡大に向けた取り組みも
-HISやANAセールスとの競合についてお考えをお聞かせ下さい
深木 提携により幅が広がり、お互い情報共有ができるようになった。例えばHISの店舗では我々の商品と合わせてオプショナルツアーを同時に購入できる。お客様のニーズでいろいろと案件が派生してくるので、どの会社が担当すればベストなのか、互いに協力しながらやっていく形になるだろう。
NHの国内線ネットワークとHISの宿泊予約サイト「スマ宿」を組み合わせて販売しているのは我々だけであり、急速に拡大している現在の訪日市場においては、競合を気にするより、まずは認知度の向上が課題と考えている。台湾や上海などのトラベルフェアへの出展や、タクシー広告、地元のフリーペーパーやウェブサイトへの広告掲出、Facebookなどのソーシャルメディアの活用など、国ごとに適したツールで情報発信をおこなっている。
また、地域によっては他の旅行会社との協業も検討する。例えば日本の各都市でのお客様のケアについては、地場の旅行会社と組むことも考えられるだろう。国内旅行の現地発着ツアーをおこなっている旅行業者などと連携できたらと考えている。
-地方自治体との連携を強化されていますね
深木 各自治体とは単県だけではなく、例えば中国や四国などでの広域連携など、複数都市を結んだ形の取り組みをしたいと考えている。自治体同士で同じニーズがあるところをうまく繋いでプロモーションしていきたい。今後の展開として、例えば「ラーメン」をテーマに札幌と福岡をつなぐといった、テーマという切り口での商品造成を検討していく。さまざまな地域からお声がけをいただいており、色々とお話をしているところだ。
また、各自治体とも、ピーク時はホテルも航空券も取りにくい。日本の盆、年末年始以外で、他国では祝日や長期休暇などのため需要が高い時期はあるだろう。そうした国ごとの需要をもっと取り込んでいけば、日本のオフの時期に送客ができるのではないか。
自治体や施設もそれを期待している。日本のピークに合わせて海外からお客様が来ると、受け入れが難しいため「もう来ないで」となる。空いている時期にこそ、各国の地域でしっかりとしたプロモーションを事前におこない、それにより海外からのお客様がやってくる。困ったときしっかり送客できるというのは一番喜んでいただけることだろう。
-ありがとうございました