インバウンドも「若い世代」にフォーカスを、ASEANの成長を取り込むために
東京オリンピックのチャンス最大化は「若い世代の力」がカギ
~ツーリズムEXPOジャパン国際観光フォーラム
SNSも人が伝えるもの
外から見られるイメージを大切に
クレイグス氏は若い世代が将来、中所得者層として有望な市場となることから、「きちんとコミュニケーションをしていく必要がある」とも提言。その際は、SNSでの双方向のコミュニケーションやバイラルなマーケティングが必要だという。ただし、「団塊世代やシニア層も引き続き、若い世代に対するコミュニケーションを続けることも重要」だとも言う。いかにITやコミュニケーションの仕方が発達しても嗅覚の刺激は得ることができないように、新しい技術にも限界があるからだ。
この意見を受け、ロバーツ氏も「デバイスの向こうには人がいる。SNSでコミュニケーションをしていても人が求めているのは人のぬくもりだ」と同意を示した。
また、フーン氏は若い世代を意識してオンライン化を進める際、自身の経験から「既存のスタッフではなく、マーケティングやウェブの専門家が担当すべき」とアドバイス。オンラインの導入時には新しい発想が必要だが、観光業の従事者は従来型のビジネスのやり方にとらわれてしまうからだ。
このほか、オンラインマーケティングにあたってはパントン氏が「良い点と悪い点がある」と注意を喚起。問題が発生するとその内容がSNSに投稿され、「ほとんどの人が、事実を知らないのに投稿内容を信じることが多い」と指摘した。
最後に会場から、「2020年東京オリンピックに何を期待しているか」との質問があった。パネリストは期間中の宿泊料金などの高騰をけん制しつつ、開催前後または開催地以外の日本での旅行を促進する方針。「日本の美しい場所、美味しい食べ物、ユニークな経験、ホームステイを提案したい」(シー氏)、「東京だけではなく全体に広げることが大切」(パントン氏)と語った。フーン氏は「日本にはエンドレスな可能性がある。日本のサービスの信頼性の高さ、プロセスの良さもメリット」と述べるとともに、日本の観光タグラインを分かりやすいものにするよう指摘した。
クレイグス氏は「日本は誇るべきものが多い。若者も誇りを持って日本を語るべき」と述べ、若い世代を東京オリンピックなど宣伝で起用することを提言。また、日本は「ドリーム・デスティネーション」として憧れを持たれている一方、国としてはシニアのイメージが強いといい、イメージのギャップは払拭すべきという。「自国がどのように見られているのかを敏感に察知することも、インバウンド誘致の上で重要だ」と強調した。