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訪日旅行で連携強化、市場多様化はかり地方誘客を-JATA経営フォーラム

  • 2014年4月3日

地方誘客で工夫を、面で売る発想も必要

松本大学教授の佐藤博康氏 分科会では、2000万人の高みをめざすうえで欠かせない視点として、地方への誘客が課題としてあがった。モデレーターで松本大学教授の佐藤氏は、2000万人の訪日外国人旅行者たちは「一体日本のどこを旅するのか」と話し、ゴールデンルートに偏っている現在のマーケット動向に対して、問題を提起した。

 観光庁の飯嶋氏によると、2012年の統計で、外国人の延べ宿泊者数は東京、大阪、北海道、千葉、京都で全体の68%。「残りの32%をどのように膨らませていくかがポイントになる」との見解を示した。政府では、こうした課題について交通政策審議会観光分科会で議論を深めながら、今夏には「観光立国実現に向けたアクションプログラム」を改定する計画だという。

国土交通省観光庁参事官(日本ブランド発信・外客誘致担当)の飯嶋康弘氏
 また、佐藤氏は「地方の保守的な発想を変える必要がある」と指摘。これを受けてJTBGMTの吉村氏は、地域によって温度差があるのが現実とし、「成功事例をいろいろな地域で共有することが大切ではないか」と提案した。また、FITの動きがカギになるとの考えを示すとともに、着地型観光や学生交流など将来のリピーターにつながる取り組みの必要性を説いた。

 日本旅行の喜田氏は、地域ごとではなく「(広域を)面で売っていく発想が必要ではないか」と話すとともに、旅館でのテーブル席の用意などを例に挙げ、「外国人対応とバリアフリー対応は似ているところがある。その視点も大切では」と提案した。

 トラベル・イノベーション・ジャパンの木地本氏は自社の取り組みを紹介。同社はタイからの訪日旅行客に特化したビジネスを展開する2012年創業の第2種旅行業。タイ人のスタッフを抱え、現地に直接セールスに赴くとともに、毎日タイ語によるFacebookを更新するなど、情報発信にも力を入れている。また、タイの旅行会社に地方デスティネーションを見せる取り組みもおこなっているという。

 しかし、一社でできることは限界があることから「JATAや日本政府観光局(JNTO)と一緒にプロモーションをして、デスティネーション開発を進めていくべき」との考えを示した。