訪日旅行で連携強化、市場多様化はかり地方誘客を-JATA経営フォーラム
旅行会社各社で分業と協業を、JATA品質認証制度の活用も
また、日本旅行の喜田氏は需要がゴールデンルートに集中していることで「見積もりは増えているが、手配できていない」現状に対する危機感を述べた。しかし「ピンチはチャンス」でもあるとし、今後求められる取り組みとして分業の必要性を挙げた一例として、小規模な旅行会社が造成したSIT商品を大手旅行会社の販路を活用して販売するとのアイデアを披露。小規模旅行会社同士の協働の可能性も示唆した。
さらに、喜田氏は価格勝負から品質勝負に転換していく必要性を説き「どこまで品質が見えるかがポイント」として、JATAが運営する訪日分野の「ツアーオペレーター品質認証制度」の有効性を強調した。同制度は訪日旅行事業に携わるツアーオペレーターの品質を高め、旅行商品の質の向上を目的としたもので、4月3日現在の合計認証会社数は38社。トラベル・イノベーション・ジャパンも取得しており、木地本氏は「タイでセールスをする場合に他社との差別化になる」と、そのメリットを指摘。モデレーターの佐藤氏も「品質が担保できなければ、リピーターは育たない。インバウンドでも事業登録が必要ではないか」と提言した。
新しい次元の連携をJATAに期待
こうした議論を踏まえ、分科会の終わりには「JATAとして何ができるか」をテーマに意見交換がなされた。観光庁の飯嶋氏は、国の方針として掲げている数の拡大、質の向上、地方への誘客の3点についてJATAと協力していく姿勢を示すとともに、地方運輸局観光部やJNTOとのさらなる連携を提案。「多様化に対応するのではなく、多様化する動きをつくってもらいたい」と話し、2000万人向けた協力を呼びかけた。
また、JTBGMTの吉村氏は、JATA地方支部との連携で地方の魅力を発信し、JATAとしてムーブメントを作っていく取り組みに期待を示した。日本旅行の喜田氏は訪日旅行市場の多様化を促進するために、新しい次元のコラボレーションの必要性を強調。それぞれの強みを共有化してビジネスのネットワークを広げていく方向性に言及した。
トラベル・イノベーション・ジャパンの木地本氏は、「ゴールデンルート3泊は正直なところ厳しい日程。しかし、現地はそれを求めている。なぜなら、その方法しか知らないからだ」と発言。「JATAと協力して、情報の発信とともに、現地旅行会社の研修、デスティネーション開発もできれば」と希望を付け加えた。