新しい価値創造への挑戦、観光庁も連携-JATA経営フォーラム

JATA会長の菊間潤吾氏 日本旅行業協会(JATA)は2月26日、「JATA経営フォーラム2014」を開催した。総合テーマは「新しい価値創造への挑戦」。冒頭、JATA会長の菊間潤吾氏は旅行業を取り巻く環境の厳しさを触れつつ、2020年の東京オリンピックとパラリンピック、訪日旅行などビジネスチャンスはあると強調。また、観光庁審議官の篠原康弘氏も観光庁長官の久保成人氏の挨拶を代読。フォーラムでの議論を、現在進めている旅行業法や標準旅行業約款の見直しの検討などに反映するなどし、JATAとの連携により海外旅行を含めて観光立国を推進していく考えを示した。

 菊間氏は、昨今の景況感の好転に触れた上で、JATA会員を対象とした調査の結果として、2012年には第1種の旅行会社の取扱高営業利益率が0.56%となり、リーマンショック前である2006年の0.55%を超え、1人あたりの利益額も改善してきていると分析。ただし、「我々がめざす1%には程遠い状況」であることから、新しい価値創造による利益率の向上が求められるとの考えだ。

 一方、旅行業界にとっての好機として、政府が観光立国を成長戦略の一つの柱と位置付けていることを挙げ、「かつてこれほど観光が注目を集めたことはない。観光産業のリーダー役としてのJATAへの期待の高まりも感じている」と紹介。

 その上で、市場全体に占めるJATA会員のシェアが、取扱高ベースで国内旅行は52.3%、海外旅行は43.2%であるのに対して訪日旅行は4.45%に留まっていることを課題と指摘。取り扱いも大手にかたよっているのが現状であり、「現在の潮流を考えれば、訪日旅行を大いなるビジネスチャンスとして捉えるべき」と訴えた。

観光庁長官・久保成人氏の挨拶を代読する観光庁審議官の篠原康弘氏 また、久保氏の挨拶では、「昨年は2020年の五輪決定や、訪日外国人1000万人達成など我が国の観光にとって明るい出来事が続いた」が、「旅行会社の取扱額は順調ではない。また、旅行業を取り巻く環境も決して楽観的なものではない」と言及。海外OTAの台頭や旅行のオンライン取引の増加など、具体的な課題も挙げ、フォーラムでの議論に期待を示した。

 加えて、2014年は海外旅行自由化から50年の節目であり「記念すべき年」と表現。その上で、「ツーウェイツーリズムの促進という観点も踏まえて、観光庁としてもアウトバウンドの振興により一層取り組んでいきたい」と意欲を表明し、「JATAともより一層緊密な連携をはかっていきたい」と協力を呼びかけた。

 なお、JATA経営フォーラム2014には300名超が来場。菊間氏らの挨拶の後、コマツ相談役で日本経済団体連合会副会長の坂根正弘氏が「世界の基本的変化と日本の構造改革」と題して基調講演を実施。そして、「旅行業の価値創造産業への挑戦-東京2020オリンピック・パラリンピックをバネに-」をテーマとしたパネルディスカッションをおこない、さらに海外旅行、国内旅行、訪日旅行、女性による価値創造、若手社員の力の活用について分科会を開催した。

※基調講演や分科会の詳細は後日掲載予定