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トップインタビュー:JATA会長 菊間潤吾氏

2014年は飛躍の年、すでに土台は整った
休暇制度など取り組み強化へ

-2014年は海外旅行自由化から50周年の節目です

菊間 これまで需要喚起はどちらかというとデスティネーションのプロモーションが主流だったが、この50年間で海外旅行が日本に何をもたらしてきたのかに焦点を当てたい。

 個人的には海外旅行の自由化は「一般市民の文明開化」だったと思っている。それまでの飛鳥や明治の文明開化は国や政治家が主役となり海外の文化が導入され、一般市民は触れたくても触れられなかった。

 自由化当時の海外旅行の価値というのは、初任給2万円でハワイが36万円。いまでいえば360万円で、欧州は720万円から。それでも行った。若者はとにかく海外に行って吸収したいと意欲を持っていた。得たものは相当大きかったはずだ。

 今の中国が海外で色々といわれていることは、日本でも最初あった話だ。その時に日本の旅行会社が先頭に立って一所懸命やった結果、日本社会の国際化に繋がっていった。今年はこういった意義を少しでも多くの人に再認識してもらい、需要につなげていきたい。


-旅行業法や約款の改正にも注目が集まります

菊間 WTMなどで諸外国の方々に日本市場について議論をしていただいたが、日本の旅行者の質も評価されている。日本のお客様に満足していただけるようなものをつくっていかなければ、観光産業の発達はないという論調だ。もっと積極的に誘致していこうと。ただ、業法の中の変更補償やキャンセルチャージなどは問題があるといわれている。

 JATAとしては、訪日旅行は別として、国内旅行、海外旅行では観光先進国であり、さらに高みをめざしていかなければならないと考えている。観光先進国として、世界のマーケットにマッチングしたものにしなければならない。なんとか直したい。

 あとは、オンライン旅行会社との役割分担、線引などだが、個人的にはインターネットによってプロと素人との境目がなくなったことが問題だと思う。旅行会社に行って聞く話とインターネットで調べる話がどう違うのかという話だ。旅行会社社員が本当の意味でのプロフェッショナルと呼ばれる環境をどう作るか、それを同時に進めなければまずい。そのためにも研修や教育システムの構築をきちんと進めていく。


-航空会社との関係はいかがでしょうか

菊間 トータルの座席供給量を増やすための運動をもっとしていかなければ訪日の2000万人もあり得ず、海外旅行市場の拡大も望めない。アウトとインのWIN-WINを考えれば、供給量をいかに増やしていくかだ。

 もちろんこれまでと同じように燃油サーチャージなど色々な問題は要望していくが、トータルの供給量の話についても動かなければならない。今検討しているのは、例えばチーム・ヨーロッパで日本と欧州それぞれの地方都市にチャーターを設定することなどだ。

 LCCも、旅行会社排除という感じではなく、旅行会社とパッケージツアーの分野でもどんどん組もうという動きが見られ、諸外国のLCCとは若干異なっている。日本市場を理解してくれているのではないか。

 一方、我々が観点を変えていかなければならないのではないかとも考えている。旅行会社の方が主体性をどう持つかという時代に入ってきていると思う。受け皿のような生き様というか、そういうものから脱却していかなければならない。航空会社など取引先の経営姿勢に応じて右往左往するのも厳しい話だ。

 ただ、もちろん会員各社への影響は大きく、時代の流れとして片付けられる話でもない。あげるべきところでは声をあげ、また新しいビジネスモデルを探ることができるようなシステムも早期に構築していきたい。


-ありがとうございました