インタビュー:バニラ・エア営業部長の近藤寛之氏

  • 2013年10月29日

旅行会社はパートナー、全世代をターゲットに
新しいタイプのLCCをめざす

-御社の運賃は、多くのLCCがアンシラリーレベニューとする受託手荷物料金なども含んだ設定が基本となっています

近藤 LCCは旅客単価を上げていく必要があるが、そのためには“裸運賃”は違うと思う。若い世代にはいいと思うが、弊社のターゲットは家族やシニアを含む全世代だ。そういう旅客にストレスなく乗ってもらえるようにするための運賃設定としており、コールセンターも用意した。

 一方、これまでのLCCに慣れている客層には、裸運賃の「わくわくバニラ」を適時販売し、利用していただこうと思っている。


-8月から現職となり、フルサービスキャリア(FSC)のNHからLCCに入ったわけですが、第一印象と今後の抱負をお聞かせください

近藤 最初に良いと思ったのは人。プロフェッショナルにこなしている、もしくはプロフェッショナルにこなそうとしている人間が集まっている。会社として人がいいのは最高だ。約400人の社員のうち、オペレーション以外、特に営業部はほとんどがプロパーで、航空会社の経験がない社員も多い。

 無責任に聞こえるかもしれないが、私は事業運営を彼らに任せたいと思っている。LCCとしてぶっ飛んだことをしたいと思った場合、仲間に任せた方がユニークなアイディアが出ることが多い。私が管理体制を強めてしまうとブレ幅が狭くなってつまらない会社になる。本当は私が営業部長をしていてはだめで、プロパーからしっかり育った人の方が良いのだと思う。営業施策を考える人間は、新しい発想が必要だ。

 そして私は会社のキャラクター作りを、とんがった営業体制を作っていきたい。ある部分にはものすごく強いが、ある部分はびっくりするぐらい手を抜いているくらいでキャラクターが立ってくると思う。まるっとした組織ではなく、社員には暴れてほしい。

 尊敬する上司の言葉だが、「100点をとるな」と私も社員に言っている。「100点なんか取ったら人に迷惑だ。70点をしっかり、そのかわり数を多く重ねていく」ということで、私もそういう組織をめざしている。


-ありがとうございました