インタビュー:バニラ・エア営業部長の近藤寛之氏

  • 2013年10月29日

旅行会社はパートナー、全世代をターゲットに
新しいタイプのLCCをめざす

 11月1日にエアアジア・ジャパン(JW)から社名変更し、全日空(NH)100%子会社として12月20日に就航するバニラ・エア。JWで得たノウハウは活かしつつも、受託手荷物を含む運賃体系や旅行会社との関係重視など、これまでとは全く異なる方針を発表。同じ和製LCCのピーチ・アビエーション(MM)やジェットスター・ジャパン(GK)とも異なる「新しいタイプのLCC」を鮮明に打ち出している。詳細はまだ明かせないところがあるものの、その真意について営業部長の近藤寛之氏に聞いた。


-8月20日の社名発表当初から旅行会社との関係重視を強調されています。どのような形を考えていますか

近藤寛之氏(以下敬称略) ほとんどのLCCは旅行会社と極めて限定的な関係にあるが、弊社では需要喚起と新市場開拓の重要な役割を担う大切なパートナーだと認識している。弊社でも旅行会社のことをパートナーと呼んでおり、新しい形のパートナーシップを具現化していきたい。

 人数が限られているLCCの営業モデルの中で、旅行会社向けに販売できるのはパッケージングになる。その内容に賛同いただいた旅行会社としっかりとしたパートナーシップを組んでいく。そうならなかった旅行会社に対してもフォローを続け、今後に繋げていける状態にしたいと思っている。

 ただし、ビジネスの根幹はBtoCで、これはLCCとして譲れない部分。その隣にいるのが旅行会社という位置づけだ。販売比率はBtoC(ウェブ販売)、コールセンター、旅行会社で8:1:1になると思うが、スタート時点では旅行会社にもっとご協力いただく形になるかと思っている。


-旅行会社側の反応はどうですか。特にLCCと組むということに関して

近藤 マーケットやビジネスの環境が変化するなか、旅行業界自体も考え方が変わってきている。ダイナミックパッケージもその例だ。そういうなかでLCCに対しても受け入れやすくなっているのではないか。相思相愛になれるタイミングのように思う。弊社からは旅行会社に対して熱い視線を送っているが、向こうから示してくれる旅行会社もある。

 現時点(2013年9月30日現在)ではエイチ・アイ・エス(HIS)、さわやかプラス、ビッグホリデーの3社が決定しており、旅行会社に卸す運賃はパッケージ商品として販売しやすいような条件を整える。契約上、具体的な内容は現時点で公表できないが、手仕舞いなどで迷惑をかけないような形にする方針だ。

 今後の販売旅行会社の数については、弊社の事業規模にもかかわってくる。現行のエアバスA320型機の5機体制では、旅行会社の数を増やすことで座席の取り合いが起こる可能性があり、逆に迷惑をかけることになる。まずは3社でスタートし、様子を見てから再度検討していく。