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トップインタビュー:NOE代表取締役社長の影山克明氏

社員に「健全な危機感」を
業務渡航とレジャー融合で成長めざす

-御社の現況はどのようなものでしょうか

影山 円安株高が進んでいる現在、旅行業界全体に追い風が吹いているといえると思う。円安になったからといっても業務渡航には関係なく、株価が上がって景気が回復すれば旅行者は増えていく。当社を含め旅行業界をとりまく外的環境は良いと見ている。

 とはいえ、インターネットなどを使って旅行会社を通さずに出かける旅行者が増えているほか、大手旅行会社への集中などもあり、円安株高が会社の業績に貢献するかというと、それは個々の会社の努力次第だろう。

 当社では2012年度で250億円の売り上げ、8千万円の経常利益を計上しており、調子がいいようにも見える。しかし、それぞれの部門ごとに見れば赤字のところもある。レジャー部門が弱い当社はそこを改善していかなければ、これは危機的状況ということになる。

 ゼロコミッションになったとき、当社は全部門で赤字となった。それを4年かかって現在の状況まで押し上げてきた。しかし、レジャー部門は追いついていない。これは「赤字体質」といってもいいと思う。


-その原因はどこにあるのでしょうか。また、どのような解決方法をお考えですか

影山 当社のブランドのひとつである「新日本トラベル」と「スカイツアー」は東名阪の地域と部門ごとに組織が分かれていた。それぞれが業績を上げようとした結果「セクショナリズム」が生まれ、それぞれがばらばらな目標を掲げていた。

 これを、まず仕入れとホールセール、リテールの3つの部署に集約し、その上にレジャー営業本部を東京においた。本部長は私が兼任している。もちろん、私が本部長をやったからといってそう簡単に何かが変わるわけではないが、ここでビジネスモデルを変えるしかない。

 「旅行業界はこれでいいのです」といわれることもあるが、これまでと同じやり方ではいけないという危機感がある。従来の成功体験に基づいていつまでも同じことを繰り返すような会社はつぶれる兆候があり、挑戦と改革が必要だ。


-まずは危機感の共有ということですが、変革のポイントは何でしょうか

影山 もちろん「これひとつ変えれば会社が良くなる」というものはない。しかし、例えば目標設定と評価制度がある。50年以上もやってきた会社というのはすでにその会社の暗黙のルールがあって、そこから外れないようにうまく立ち回っていれば安心して定年を迎えることができるように見える。

 無謀な目標設定などせずに必ずクリアできる目標を設定すれば、毎年「目標を達成できた」として社内評価は上がるため、部署全体が達成可能なゆるい目標設定しかしなくなってしまう。チャレンジ精神が低下するわけだ。

 こういう硬直的な評価制度も変えていくことによって、達成手段を工夫するようになるだろう。それが私の掲げる挑戦と改革のひとつだ。