日本航空、稲盛氏が取締役退任-植木社長、中計の必達強調、B787対応継続
日本航空(JL)は3月19日に開催した臨時取締役会で、4月1日以降の新役員体制を決定した。取締役名誉会長の稲盛和夫氏は取締役を退任。4月からは名誉会長としてJLに関するアドバイスをおこなっていく。
同日開催した会見で、稲盛氏は「自分で信じられないくらい素晴らしい成果をあげられた。これは社員の方々の努力のおかげだ」と3年間を振り返った。その上で「奇跡的とも言える回復を遂げてきたJLだけに、一番心配するのは慢心」とし、「謙虚にして驕らず、ということを肝に銘じてやっていただきたい」と語った。今後は月に4、5回程度JLを訪問するほか、業績報告会にも可能な限り出席する考えだ。
稲盛氏の退任を受け、同社代表取締役社長の植木義晴氏は「安全運航を大前提に、JALフィロソフィと部門別採算制度の2つの柱を継承し、謙虚に努力を続けていきたい」と述べた。今後はJLが中期経営計画で目標として掲げる、安全運航の堅持、顧客満足度no.1、各年度の営業利益率10%以上、自己資本率50%の達成をめざしていく。植木氏は、航空業界の競争が激化するなかでも中期経営計画の目標は変更しないとし、「社員と心を合わせて必ず達成していきたい」と意気込みを語った。なお、新役員体制については次ページを参照のこと。
▽B787対応継続、営業利益18億円減見込む
また、植木氏はボーイングB787の運航再開について、ボーイングのテストフライトを含む各種試験や、米連邦航空局(FAA)、国土交通省航空局の判断が出た後に決定していくと説明。ボーイング側からは最短で数週間で運航再開が可能との話も出ており、運航開始に対する万全の準備は進めているが、当局の判断を待ち、十分に状況を見極めてから運航再開の判断をしたいと述べた。
B787の運航停止に伴う損害賠償については「双方で契約を交わしており、それに基づき淡々とやっていく」考え。データ収集などの準備を進めているが、今はボーイング側にB787の改善策に集中してもらいたいとし、しかるべき時期に交渉を開始するとした。
植木氏によると、3月31日から5月31日までのB787運休による影響は、収益で約23億円減、営業費用で12億円減、営業利益で11億円の減益となる見込み。すでに発表した1月16日から3月30日の影響額と合わせると、収益で34億円減、営業費用で16億円減、営業利益で18億円減となる見通しだ。
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