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2010年の取扱高営業利益率-0.38%、01年以来のマイナスに-JATA経営分析

  • 2012年3月1日

取扱高、営業収入は01年以降、最高

 販売状況は、決して悪いものではなかった。全体平均の取扱高は203億678万8000円、営業収入は26億689万5000円で、09年よりも取扱高は93億2231万円増加。営業収入も14億4571万6000円増加し、双方とも2001年以降で最高の結果となった。

 一人当たりの取扱高、営業収入(粗利益高)もすべて増加。規模別にみるとDグループ(101人~300人)の取扱高が1億9062万円、営業収入が1959万8000円と最も高い。取扱高利益率がマイナスとなったGグループも、取扱高は1億630万9000円、営業収入は1595万5000円で、09年より取扱高で1862万1000円、営業収入で583万2000円増加している。唯一、Aグループが取扱額で7463万8000円と09年より減少したものの、営業収入では927万5000円で09年よりも105万5000円増加している。

 しかし、一人当たりの営業利益では、大規模旅行会社の不振が目立つ。09年よりも利益額を高めているグループが多いなか、09年は82万7000円であったDグループはマイナス7万円と赤字化。Gグループにいたってはマイナス100万9000円の赤字と大きく落ち込んだ。Eグループが97万8000円を計上し、Aグループ(20人以下)も09年の8万2000円の赤字から10年は53万8000円と大きくプラスと健闘したが、全体平均では44万円の赤字となった。


経費も10年以降の最高額
経常利益は黒字、本業以外の収入が増加

 取扱高、営業収入が過去最高を記録したにもかかわらず、営業損益が赤字化したのは、コストの増加によるものだ。営業費(全体平均)も26億8340万8000円で09年の倍以上、かつ、01年以来初めて20億円以上を計上している。人件費も9億1710万円で09年より約70%上回り、最高額となった。経費についてはこの数年、削減傾向が続いていたが、2010年は急激に上昇。利益を食いつぶす要因となった。

 経費のうち人件費をみると、一人当たりの人件費は約80万円上昇し、526万9000円となった。全体的に09年を上回っているが、特にDグループが735万9000円と09年よりも236万6000円も増加。これはDグループの健全企業の542万4000円よりも大きく上回っている。

 ただし、営業費に占める人件費の割合(営業費構成人件費率)は34.18%で、09年よりも13.78ポイントも低下し、01年以来、初めて30%台となった。Aグループが09年よりも3.76ポイント増の56.82%、Cグループが2.71ポイント増の62.02%など小規模企業は上昇したが、Eグループは20.82ポイント減の34.05%、Gグループは17.5ポイント減の28.61%となり、大手が極端に人件費比率を縮小し、効率化をはかろうとした可能性があるだろう。また、逆に広告などその他の費用を大幅に増加したため、相対的に人件費の割合が減った可能性もある。

 なお、経常利益(全体平均)は9497万5000円で黒字。取扱高経常利益率は0.47%、営業収入に対する経常利益率は3.63%だ。営業外収入が2億926万2000円で、09年よりも1億8620万円も増加し、本業以外の儲けで黒字計上となった傾向が見られる。