神戸港の客船誘致、CIQ改善の取り組みも

神戸の魅力、西日本の魅力を発信し客船を誘致
瀬戸内海クルーズの推進も

神戸港の充実した施設とアクセス利便を強みに客船誘致に注力していく

 プロモーションの課題について岩尾氏は、「神戸は京都、大阪が近いため、世界的なネームバリューの観点からすると、観光面での知名度が少し落ちる」と指摘する。六甲山や有馬温泉など神戸を拠点とする観光スポットもあるものの、外国船が寄港した際のオプショナルツアーとして多いのは京都、奈良を訪れるルートという。岩尾氏は、「神戸という町自体の知名度をあげていかないと発信力が落ちてしまう」と危機感を示し、「京都や奈良に頼らない寄港地の魅力」の発信に、神戸港だけでなく神戸市全体で取り組んでいく考えを示した。

 このほか、客船誘致活動は神戸市みなと総局だけでなく、神戸市産業振興局、神戸港振興協会、神戸国際観光コンベンション協会からなる神戸市客船誘致協議会を中心におこなっており、観光面での魅力をアピールする際には海外各都市へ出向いて上映会や展示会を実施しているところ。例えば、若い女性に人気のファッションショー、神戸コレクションを上海で開催した際には、神戸の産業を紹介するなどして神戸の認知向上、イメージアップをはかっているという。

 一方、海外での認知度が高いのは瀬戸内海で、独特な景観“多島美”に対する評価が高いが、航路の狭さと潮の流れの速さから、大型船が夜間に通行できないのがネック。例えば、飛鳥IIが福岡から神戸に向かう際は、フェリーが一晩で通る距離を2日間かけなければならないという。岩尾氏は、現在は船のナビゲーション技術が向上していることから、安全な航海が可能な船なら通行できるようにするなど、瀬戸内海クルーズ振興に向けた規制緩和についても言及した。

 なお、日本人向けには、2012年のNHK大河ドラマで取り上げられる平清盛にからめてプロモーションしたいという。神戸は平清盛のゆかりの地であり、ドラマの中でも取り上げられる予定。ゆかりの地をめぐるコースなどを企画することで、2012年の西日本クルーズを盛り上げられるのではと期待した。


取材:本誌 秦野絵里香