神戸港の客船誘致、CIQ改善の取り組みも

三宮駅からポートターミナル駅までは5分。駅を降りるとすぐ左手に神戸ポートターミナルがある

 近年、クルーズ船の誘致を訪日旅行者獲得のチャンスと見て積極的に取り組む自治体が増えている。神戸市もその一つで、2010年には103隻の客船が入港し、日本で2番目、西日本では1番の港となった。2012年夏には、これまでで最大となる13万7000トンの大型船「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」が初めて神戸港に寄港する予定で、その話題性から日本のクルーズ市場への刺激にも期待がかかっている。神戸市が進める客船誘致の戦略や今後の課題、可能性はどのようなものか。神戸市の客船誘致を担当する神戸市みなと総局の岩尾幸一氏に聞いた。


ボイジャー寄港でCIQ改善に意欲

神戸港の客船誘致を担当する神戸市みなと総局みなと振興部振興課主査(客船誘致担当係長)の岩尾幸一氏

 ボイジャー・オブ・ザ・シーズは乗客、乗組員あわせて5000人程度。神戸市みなと総局みなと振興部振興課主査(客船誘致担当係長)の岩尾幸一氏は、「これまで入港した客船の中で最も大きかったのは7万8000トン。約2倍の大型船が寄港することは非常に大きなインパクトがある」と話し、経済効果は非常に大きいと期待する。乗客の大半は中国人との見込みで、神戸市では、市内の案内や観光マップなどの中国語表記もこれまで以上に進めている。

 一方、受け入れにあたっての課題は、税関や出入国管理をおこなうCIQだ。「神戸港で入国審査をすることになれば、5000人となるとかなり時間がかかってしまうため、検査の場所を広げたり検査する人員を増やせるよう協議する必要がある」と岩尾氏。海外では、前の港で審査係員が乗船しCIQをおこなう、前乗り海外臨船(前乗り審査)を実施しているケースもあり、地元の入国管理局や税関と相談しているところ。

 日本のクルーズマーケットでは、以前から神戸に限らずこうしたCIQに時間がかかることが懸念事項となっていた。神戸港にとっても、「ボイジャーの寄港をきっかけとして、より効率的なCIQのやり方について話したい」(岩尾氏)という。すでに、地元の入国管理局や税関とはボイジャー寄港までになんらかの取り組みが必要との共通認識を持っているといい、観光庁を窓口として、法務省入国管理局の本局とやりとりを始めている。