ペニンシュラ、経済不安でもブランド力を維持−日本市場に期待

  • 2009年3月5日
 ザ・ペニンシュラホテルズはこのほど、マニラ、香港、バンコク、北京、上海のアジア各ホテルのワークショップを開催、これにあわせて来日した各ホテルのマーケティングディレクターらが現状について語った。昨年から続く経済危機で日本発レジャー市場にも影響が出ているものの、ザ・ペニンシュラホテルズ日本・韓国地区統括部長の中村清氏は「4時間程度のフライトで行ける香港やマカオ、グアムなどには行っている」と需要があることを示唆。経済不安により価格を下げて提供する競合ホテルもあるが、「価格面ではなく付加価値を加えて展開していきたい」とブランド力を維持する方針だ。





▽ザ・ペニンシュラ・上海、マーケティングディレクター デイビッド・キャンベル氏

 ザ・ペニンシュラ・上海は2009年9月の開業を予定。デイビッド氏は、親会社の香港上海ホテルズの原点が上海であることから、「上海にオープンできることはペニンシュラにとってすばらしいこと」と語る。ホテルのコンセプトは、中国らしさや1930年代のアールデコ調を意識したものになるという。初年度の日本人利用者についてキャンベル氏は、「全体の10%のシェアをめざしたい」と意気込みを語り、レジャー層の取り込みをねらう。浦東(プードン)の海岸沿いに位置し、黄浦江や旧英国領事館の庭園などの観光スポットを始め、多くのレストランが徒歩圏内になることがアピールポイントだ。スタッフの研修は開業の約3ヶ月ほど前から開始する予定で、「ハード、ソフトの両面において満足してもらえるだろう」と自信を示した。


▽ザ・ペニンシュラ・バンコク、セールスマネージャー 松本啓氏

 ザ・ペニンシュラ・バンコクでは、昨年末の空港閉鎖の影響もあってピークに入る10月以降急激に需要が落ち、11月は例年の半分以下となった。しかし、3泊すればスパや夕食を付ける宿泊プランの提供などにより、年末年始の需要は回復傾向となったという。2008年の通年の稼働率は約65%を維持した。また、「現地では問題が全くなかった」ことから、現地在住の外国人向け宿泊プランを企画し、好評を得ているという。これまでレジャー需要が80%を占めていたが、このプランは「ビジネスで住んでいる人が利用することで、その企業の業務渡航の際に利用してもらえるという相乗効果もある」ことから、ビジネス需要の獲得につなげたい考えだ。


▽ザ・ペニンシュラ・香港、日本セールスディレクター 山瀬富士夫氏

 80周年を迎えた2008年、ザ・ペニンシュラ・香港は平均稼働率が約75%となったものの、2009年1月から2月にかけてはレジャー、コーポレートともに経済危機の影響で利用客が減少。特にアメリカからの宿泊客が落ち込み、シェアが約24%から20%以下に縮小した。一方、日本人利用客は宿泊数は横ばいであるものの、アメリカ人宿泊客の落ち込みでシェアが拡大しており、悲観的にはとらえていないという。今年は58室あるスイートルームの稼働率向上をめざし、パッケージ商品を強化したい考えだ。なお、昨年12月6日にはペニンシュラアーケード内に、新たなラウンジをオープン。1930年代の上海のアールデコ調インテリアやオブジェなどを設置しているほか、個室ではないものの世界各国をイメージした部屋も用意。日曜日以外はライブを開催し、好評を得ているという。


▽ザ・ペニンシュラ・マニラ、セールスエグゼクティブ マイケル・コンハーレス氏

 コーポレート需要が高いザ・ペニンシュラ・マニラの2008年のホテル稼働率は、平均で80%と好調。日本人宿泊者数は全体の約7%であるものの、アメリカ、ヨーロッパに次いで第3位となった。また、「ビジネス街だけでなく徒歩5分のところにショッピングセンターもある。女性が滞在しても楽しめる」として2009年は新たに女性層を取り込みたい考えだ。アフタヌーンティーやチョコレートなどを付けたプランやパッケージ商品などを展開して販売を強化する。2008年10月にはアヤラタワーのリノベーションをおこない客室の設備などを刷新。これにより、マカティタワー、アヤラタワーともにリニューアルが完了ししている。


▽ザ・ペニンシュラ・北京、マーケティングディレクター アイリーン・タン氏

 ザ・ペニンシュラ・北京では、2008年は北京オリンピックの開催にともない、メインスポンサーのホテルとしてメディアや関係者の宿泊利用が多かったという。そのため、6月から10月にかけてはピークであるにも関わらず、「通常70%を占める日本のレジャー層の取り込みが難しかった」という。今年は「チャレンジイヤーになる」との認識で、「昨年宿泊できなかった人の需要を確保していきたい」と語った。また、日本市場に対しては、「(今回のワークショップにより)日本で直接コミュニケーションを取れたことで関係強化につなげたい」とし、旅行会社各社との協力関係を強調した。