木村観光庁長官、初会見で政策方針示す 国内・海外旅行の振興加速、旅行業界と「密接に連携」

7月訪日客は344万人、7カ月累計は1.7%減 中国減を他市場が補完

 JNTOによると、2026年7月の訪日外客数は344万2100人で前年同月比0.1%増となり、7月として過去最高を記録した。1~7月累計では2452万7200人で1.7%減だった。23の主要国・地域のうち17市場が7月として過去最高となった。

 市場別では、中国が42万8200人と56.1%減となった一方、韓国は89万4700人で31.9%増、台湾は76万3800人で26.4%増、香港は27万2500人で54.8%増となった。台湾は初めて単月70万人を突破して過去最高となった。このほか米国も28万6200人で3.3%増、中東地域は2万8200人で41.0%増となるなど、中国市場の大幅減を幅広い市場の伸びが補う構図となっている。

 木村長官は、中国からの訪日客の減少が続いている一方、1~7月では東南アジアや欧米豪などが増加していることを指摘。さらに1~6月の訪日旅行について、旅行者1人当たり消費額、全体の旅行消費額ともに前年を上回っているとして、「全体としてインバウンド市場はおおむね堅調に推移している」との認識を示した。今後も国際情勢などによる影響を低減するため、市場の多様化、消費単価向上、地方誘客を進めるとした。

 なお、JNTOによる2026年1~7月の訪日外客数と出国日本人数は以下の通り。アウトバウンドは1~7月累計で813万5900人と前年同期比4.1%増まで回復したものの、7月単月は119万1300人で1.2%減となった。

2026年 訪日外客数・出国日本人数(月別)
訪日外客数 前年比 出国日本人数 前年比
1月 3,597,881人 -4.9% 1,072,602人 +17.6%
2月 3,466,848人 +6.4% 1,093,250人 -7.4%
3月 3,619,159人 +3.5% 1,518,999人 +6.7%
4月 3,692,364人 -5.5% 1,042,087人 +8.4%
5月 3,560,256人 -3.6% 1,127,482人 +4.7%
6月 3,148,600人 -6.8% 1,090,183人 +3.4%
7月 3,442,100人 +0.1% 1,191,300人 -1.2%
1~7月累計 24,527,200人 -1.7% 8,135,900人 +4.1%

出典:日本政府観光局(JNTO)。2026年6・7月の訪日外客数、7月の出国日本人数は資料上の推計値。

国内旅行消費は11.7%増、単価上昇も押し上げ

 国内旅行は消費額が大きく伸びた。2026年4~6月期の日本人国内旅行消費額は7兆5361億円で前年同期比11.7%増。延べ旅行者数は1億4958万人で3.3%増、1人1回当たりの旅行支出は5万381円で8.2%増となった。宿泊旅行の増加に加え、宿泊費や飲食費の上昇による旅行単価の上昇が消費額を押し上げたと観光庁は分析している。

2026年4~6月期 日本人国内旅行の主な指標
指標 実績 前年同期比
国内旅行消費額 7兆5,361億円 +11.7%
うち宿泊旅行消費額 5兆9,578億円 +13.6%
国内延べ旅行者数 1億4,958万人 +3.3%
1人1回当たり旅行支出 50,381円 +8.2%

出典:観光庁「旅行・観光消費動向調査」2026年4~6月期1次速報。

 木村長官は国内旅行市場について「好調な状況が続いている」と評価した。一方、旅行者数の伸びが3.3%なのに対して消費額が11.7%増となった背景には単価上昇があり、今後、旅行需要そのものの拡大と消費額増加をどう両立させるかも政策上の焦点となる。

熊本地震、風評によるキャンセルも 需要回復支援を検討

 7月28日に発生した熊本地震について、観光庁は宿泊施設や観光施設で多数のキャンセルが発生していることを確認していると説明した。特に熊本県では、施設への直接的な被害がない地域を含め、風評などによるキャンセルが多数発生しているという。

 木村長官は、熊本県をはじめ九州各県の要望や復旧状況を踏まえ、観光需要の回復に必要な支援について関係省庁との調整を急いでいると説明。外国人旅行者には、災害情報提供アプリ「Safety tips」やJNTOのウェブサイト、SNSによる多言語情報発信、24時間対応のコールセンターなどを活用して支援する。

 JNTOを通じて重点市場の海外旅行会社に聞き取りを行ったところ、東アジアでは熊本・九州旅行を中心にキャンセルが見られたものの、それ以外の市場では訪日旅行が大きく話題となっている状況にはないという。木村長官は、日本全体のインバウンドへの影響について「現時点では限定的」との認識を示す一方、九州への旅行需要については引き続き注視する必要があるとした。