「ふるさと住民」は旅行会社の新市場になるか 日本旅行、楽天と「寄付・来訪・地域活動・再訪」の循環構築へ
「3回」を単なるリピートではなく、一つの物語に
制度設計上、プレミアム登録では年3回以上の担い手活動が基本となる。この「3回」を旅行需要につなげるには、同じ体験を繰り返すだけでは十分ではない。
日本旅行では、季節ごとに異なる活動を設けるなど、複数回参加したくなるストーリー型の商品を検討している。仮に農業であれば、植え付けから生育、収穫までを別の機会として設け、最終回で成果を実感できるような組み立ても考えられる。
本間氏は会見後の取材で、制度を旅行ビジネスとして捉えるうえでは「担い手活動のプログラムを作るだけでは、それほどのビジネスにはならない」と説明。現段階では事業モデルを「模索している」としながら、自治体から担い手活動の造成や送客を受託するBtoGの事業と、造成したコンテンツを一般旅行商品として販売するBtoCの双方に可能性を見ている。楽天のポータルだけで販売する考えでもなく、日本旅行の自社チャネルや一般の旅行商品として展開する「両軸」を想定しているという。
つまり、制度から生まれる旅行会社の商流は、単純な「3回分の旅行販売」だけではない。自治体から地域課題を聞き出し、担い手活動を造成し、受け入れ事業者を調整する。そのうえで交通・宿泊を組み込み、参加者を送り、再訪させる。自治体向けの地域ソリューションと旅行販売が重なる市場になる可能性がある。
楽天は2027年春に「楽天ふるさと住民」
この商流の入口を担うのが楽天だ。同社は2027年春、ポータルサイト「楽天ふるさと住民」を新設する。自治体の魅力や担い手活動を紹介し、ベーシック、プレミアムの登録を支援するほか、旅行会社と共同開発するふるさと納税返礼品、担い手活動を体験できる旅行券、楽天トラベルの宿泊クーポンなども取り扱う予定だ。
国が整備する登録システムそのものを楽天が代替するわけではなく、楽天側は制度の「受け皿」として、地域との接点を持つ人を見つけ、活動参加や旅行、寄付などにつなげる役割を担う。
首長サミットでは、楽天が楽天市場、楽天トラベル、楽天ふるさと納税などの利用データを通じて地域と接点を持つ利用者を見つけ、ベーシック登録の入口へ誘導する構想を説明した。クーポンなどによって地域への移動を後押しし、その後の成果を分析するところまでをプラットフォームの機能として想定している。
コンソーシアムでは役割分担も見えてきた。楽天が利用者との入口をつくり、タイミーがスポットワーク、おてつたびが仕事と滞在、LIFULLが地域での居住拠点、日本旅行が旅と来訪を担う。こうした機能を組み合わせ、「登録」だけでなく、活動、滞在、消費へと関係を深めようとしている。


