豪州、不確実性の中でも日本市場は「活動継続こそ勝ち筋」、新路線やセルフドライブへの意欲も(後編)

  • 2026年6月25日
ノーザンテリトリー観光局(TENT)

(右)、 スザナ・ビショップ氏(CEO、画像右)
ステイシー・メルマン氏(CMO)

ノーザンテリトリー

 日本からの訪問者は年々増加し2025年末時点で1万4000人、消費額は約1800万豪ドルとなり、回復を超えた成長段階に入ったとの認識。平均滞在日数も7.6日と長くなっている。12月に中国南方航空(CZ)の広州/ダーウィン便が就航し、SQのシンガポール経由に加えて広州経由での訪問も容易になっているとのこと。

 また長年の課題だった需要の分散化も前進しはじめ、ウルルだけでなくトップエンドやアリススプリングスを訪れる人が増加。今後もAATキングスなどパートナーとの関係強化、OTAや各種プラットフォームを通じたウルル以外の情報発信、日本語対応、テクノロジー整備などに着実に取り組んでいく。また、ウルルへの高い認知度を活かしながらNTの他の魅力も伝達していく考えだ。

 TENTでは昨年に日本事務所を閉鎖。アジア向け活動をダーウィンの本部に集約し効率的に運用する施策の一環で、ジャーニービヨンドやAATキングス、TAなどとの連携を通してマーケティングを実施しており、市場への投資を削減したわけではなく最適化であるとした。

 新プロダクトでは、オーストラリアン・ウォーキング・カンパニーによるウルルからカタ・ジュタを歩くラグジュアリーツアーが誕生。また星空鑑賞にもチャンスを見出しており、アリススプリングスとダーウィンの間のカルルカルルでダークスカイパークの認定取得を進めている。このほか、ウルルのフィールド・オブ・ライトが今年10周年を迎え、ダーウィンの先住民ララキア族の文化センターも開業間近だ。

南オーストラリア州政府観光局(SATC)

エマ・テリー氏(CEO、画像左)
マーティン・ケーズラー氏(東半球担当マネージャー)

南オーストラリア州

 2025年の日本人訪問者数は1万人で安定的で、そのうえで消費額は20%増となり、市場の可能性は十分あると分析。8年ぶりのATE開催で日本人バイヤーも多くアデレードを訪れ視察にも参加したことが追い風になると期待しており、今後もASPと連携するなど旅行業界向けに活動を展開する計画。TAが日本で計画中の商談会への参加も前向きに検討中だ。

 来年のラグビーワールドカップではアデレードで日本戦が開催される予定で、チケット購入も好調。開催地としての露出で認知向上にも繋がると期待している。また、直行便の誘致にも引き続き取り組む。

 差別化ポイントとして強調するのは食とワイン。ワインについては、豪州産プレミアムワインの5本に4本はSA産とのこと。ダイオウギスなど固有の魚介類も豊富だ。また、アウトバックも車で4時間と近く、ワインの名産地も通る。丘陵地帯では野生のカンガルーやコアラが自然の中で見ることが可能。カンガルー島に新たなゴルフコース「ザ・クリフス」が完成した。

 さらに最大の強みはこれらの組み合わせが容易である点で、カンガルー島でネイチャーツアーをした後、ブッシュの中でダイオウギスの料理を楽しみ、ワイナリーでテイスティングをしていれば野生のカンガルーが歩いてくる、といった「魔法のような瞬間」を打ち出す。

タスマニア州政府観光局(TTAS)

アンヌ・グリーンツリー氏(ビジター・エコノミー戦略・調査担当ディレクター)

タスマニア州

 日本市場は安定しつつ成長余力もあるとの分析で、野生動物や自然の景観、ウォーキング、ハイキング、新鮮な食材など州の魅力と旅行者の関心の親和性は高いと見ている。他州と比べ予算が限られるなかで、日本市場はTAとの連携によるアプローチが中心だ。

 予算配分では、旅行者の行動変化に対応するため投資の多くをテクノロジー分野にシフト。特に検索の主軸がAIに移るなかで、「AIが読みやすいコンテンツ」の構築に注力。AIの挙動を踏まえてタスマニアが検索結果で浮上する機会を最大化したい考え。そのためサプライヤーにも、例えばFAQ形式のコンテンツなど「タスマニアにしかないもの」を短く明確に表現するコンテンツ作りを促しているという。

 今後3年間の最優先事項はAIとテクノロジー、そしてインバウンド市場の拡大と設定。インバウンドは、国内市場も伸ばしつつインバウンドの比率を現在の14%から20%へ引き上げたい考えで、航空会社やホールセラーとの協業、ATEのようなイベントを通した活動を重視している。

前編:オーストラリア政府観光局、ニュー・サウス・ウェールズ州、クイーンズランド州