豪州、不確実性の中でも日本市場は「活動継続こそ勝ち筋」、新路線やセルフドライブへの意欲も(後編)
オーストラリア政府観光局(TA)が5月11日から5月14日まで南オーストラリア州アデレードで開催した毎年恒例の旅行商談会「オーストラリア・ツーリズム・エクスチェンジ(ATE26)」。中東情勢などで世界経済や国際観光市場の不透明感が増すなかでも、会場では約5.5万件の商談が活発に交わされた。会場での取材では、不透明さの増す国際観光市場でも日本市場への明るい期待が聞かれ、新路線やセルフドライブへの意欲も複数。TAと各州・地域の現状認識や方針を責任者・担当者の取材から前後編に分けて紹介する。(前後編の前編)
高森健司氏(日本・韓国局長)
ビクトリア州
2025年暦年の日本人訪問者数は8万4000人で、2019年比は8%減だが2004年比では7%増。また消費額も4億1500万ドルとなり国別で5位(人数では9位)となり、好調な留学なども含んだ数値だがコロナ以前と比較すると1.8倍にも拡大した。また昨年発表された予想値で日本人訪問者数は2030年に向けて年率4%程度の伸び率で増加していくとされており、10万人弱の数値が示されている。
活動としては、日本航空(JL)の通年デイリー化を見据え旅行会社などとの連携による誘客を計画。旅行会社とはセミナーやFAMのほか、直近では令和トラベルと組んで4回目となる人気インフルエンサーのモニターツアーを実施。撮影した画像を営業に活用できるようにするなど工夫しており、今後も継続をめざす。
また情報発信も強化。食やコーヒー文化のほか、メルボルンを核にコンパクトに多様な旅程が組めることや、例えばグレート・オーシャン・ロードでも単に絶景と紹介するのでなく「どのようにして作られたか」などストーリーを交えて発信していく。
教育旅行も、関係機関や企業とプロダクト開発を含めテコ入れする。同様に地方分散も情報発信と旅行業界との連携で進める考えで、セルフドライブのプロモーションも計画。さらに、2028年にゴルフの主要イベント「プレジデンツカップ」がメルボルンで開催されることから、ゴルフをテーマとした誘客にも力を入れていく。
吉澤英樹氏(日本局長)
西オーストラリア州
西オーストラリア州も2025年暦年で訪問者数が3万4000人となり前年比13.3%増。2019年比も12.9%減、まで回復した。今年10月末にはNHパース線が通年でのデイリー運航に戻ることから、今後は更なる積み上げをめざす。また7月以降の予算規模は今年度と同水準となり、先日発表したグローバルブランドキャンペーン「WALKING ON A DREAM - さぁ、夢の世界へ旅立とう」の第2弾も活用しながら誘客につなげていく。
NHデイリー化では首都圏旅行会社との商品造成を強化。ワイルドフラワーも、3月号のNH機内誌で大型タイアップを掲載するなど注力。2011年までQFパース線が継続していた際には年間5、6万人が訪れていたことから、訪日需要の大幅増はありつつも更なる回復、増加は可能と見る。
一方、QFとJQを含め他航空会社とも連携し、特に首都圏以外ではSQやキャセイパシフィック航空(CX)、マレーシア航空(MH)、タイ国際航空(TG)での送客に取り組む。またQF成田線の復活にも期待しており、ハードルはあるもののパース空港における滑走路増設やターミナル再編計画もあり実現の可能性はあると見ている。
情報発信も強化。テーマとして重視するのは州内5地域(リージョン)ごとの市場特性に合ったプロダクト紹介と、アボリジナル文化を軸にした旅行体験の提示。特に後者は、WAのアボリジナルの人々が1年の季節を6つに分けていることを切り口とし、その「六季」のシーズナリティに合わせた季節ごとの提案や商品化に取り組む。
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