旅行会社の実例から見るRPA導入で実現する顧客満足度向上-エグザクトソリューションズ 宮寺匡広氏

■現場課題に応えるRPAの連携事例

(左から)ターキッシュエア&トラベルの星野氏、ジェム・チャカローズ氏

 顧客満足度に直結する重要な課題であったため、RPA導入は急務とされました。導入後、まずはGDSを活用して料金変動を自動チェックするロボットを開発。これにより、一部生じていた実際の価格とのズレの解消と、人力で行っていた価格チェックの作業時間が大幅に減少し、業務の質が向上しました。

 その他の課題にも対応すべく、以下のようなロボットが順次開発されました。


• オンライン申込み直後に自動予約手配
オンラインでツアーの申込みが入ると、予約情報を自動で収集し、GDSで空席照会を行い、予約を確保するロボットを作成。これにより更に迅速なサービス提供が実現されました。

• 基幹システムとの予約情報照合
航空券の予約内容と、基幹システムに登録された予約情報の整合性を自動で照合するロボットを作成。多岐に渡る確認作業をRPAに割り振ることで作業効率が大幅に向上しました。

• 予約完了メールの自動作成
ツアー手配完了後の予約完了メール作成業務の一部を自動化。予約ごとに異なる情報をRPAが自動取得し、集約。お客様のニーズにあった回答をひとりひとりに作成する作業時間と負担が大幅に軽減されました。

 代表のジェム・チャカローズさんは、次のようにも語っています。

 「お客様との最初の接点はオンラインですが、その後は電話、メール、SNS、さらにはご来店といった多様なコミュニケーションを通じて対応しています。あえてチャットボットを導入せず、スタッフが丁寧に対応することで、お客様に十分ご納得いただいてからお申し込みいただくよう努めています。RPAによる業務効率化で生まれた時間を、お客様対応に充てることができるのです。」

 このように、顧客との関係性を大切にする姿勢が業務改善にも生かされています。労働時間の削減や従業員の負担軽減といった短期的な効果にとどまらず、効率化によって浮いたリソースを人にしかできない業務へ再配分することで、『お客様の声を大切に、お客様との信頼関係を築き上げる』という同社の目指すサービス向上に繋げています。

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