旅行会社の実例から見るRPA導入で実現する顧客満足度向上-エグザクトソリューションズ 宮寺匡広氏

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と旅行観光業をテーマに、全3回にわたってコラムを執筆してまいりましたが、今回がいよいよ最終回となります。
第1回では私の経歴とRPAについてご紹介し、第2回では導入時の課題や伴走支援の必要性など、DXツール導入時の問題点について詳しく解説いたしました。本コラムでは、旅行業界が抱える具体的な課題と、RPAの導入によってどのように改善が図られるのか、実際の導入事例を通してご紹介いたします。
■業務の複雑性と人手不足
旅行業界は、宿泊手配、航空券の予約、ツアープランの企画、レンタカーや現地移動の手配など、多岐にわたる複雑な業務を取り扱っています。これらの業務は、時間やコストだけでなく、人的リソースも大量に消費されるため、対応の遅れやヒューマンエラーがそのまま顧客満足度に直結してしまいます。
さらに、人手不足といった社会課題も相まって、業界全体で業務効率化が急務となっています。このような背景から、旅行業界でもRPAなどの自動化ツールへの関心が一層高まっています。
では、実際に旅行会社ではRPAがどのように活用されているのでしょうか?ここからは、RPAを活用して業務効率化を推進しているターキッシュエア&トラベル様の事例をご紹介いたします。
■現場課題とRPA導入経緯(ターキッシュエア&トラベル)
ターキッシュエア&トラベル(TURKISH Air&Travel)は、トルコ旅行やトルコツアーに特化したサービスを提供しています。同社代表のジェム・チャカローズさんは、次のように語っています。
「航空券の手配や宿泊、現地ツアーの企画、送迎サービスなどをワンストップで行い、お客様一人ひとりのニーズに合わせたツアープランを実現してきました。また、トルコならではの文化や魅力を余すところなく発信する特別なツアー展開にも力を入れています。」
このように、専門性を活かして確固たる地位を築いている同社は、安心・安全な旅行体験を実現するため、従来の多岐に渡る確認作業の効率化を図るべく、最新のデジタル技術や自動化システムの導入にも積極的に取り組んでいます。RPAもその一環として取組を進めています。
ただ、こうした取組以前は、以下のような課題が存在していました。
• GDSを使った航空券の料金チェックWebサイトに掲載する料金表の更新作業に、かなりの時間と手間がかかっていました。
• オンライン申込みの対応土日祝日のお申込みに対し、航空券の手配等が翌営業日まで行われず、リアルタイムに変動する空席状況へ即応できないという問題がありました。
• 基幹システムへの予約情報転記予約作業の入力項目が多岐にわたるため、ミスの発生が考えられる状況でした。
• 予約完了メールの作成手配完了後の予約完了メールは、個々のお客様へ一通一通ご用意する必要があり、作業負担の大きい業務となっていました。
同社でバックオフィス業務を統括されている星野さんは、「日々変動する航空運賃に対応し、表示通りの旅行代金で全てのお客様をご案内する、この課題を解消するためにRPAの導入を検討しました」と語り、課題解決の手段としてRPAに着目した経緯をお話しくださいました。
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