競争激化のLCC業界で独自路線展開するスクート、旅行代理店経由の販売で日本発需要喚起-日本支社長比留間氏
シンガポール航空(SQ)グループで、成田=シンガポール、成田=台北=シンガポール、関西=シンガポール、新千歳=台北=シンガポールの計4つの日本路線を週32便運航するLCCスクート。新興LCCの誕生や破産など競争も激化する中で、同社はキャンセルオプションや静音キャビンなど差別化を図るほか、旅行代理店経由の販売も強化するなど独自路線を築いている。同社日本支社長で長らくLCC業界に携わる比留間盛夫氏に、同社の戦略や今後の展開について聞いた。

比留間盛夫氏(以下敬称略) 旅行者が求めるものとして従来の所謂パッケージ商品も底堅いが、明確な目的を持って、且つ競争力のある価格で旅行される方が非常に多くなっている。そういった旅行においてLCCの役割は以前にも増して大きくなっており競争も激化していると言えるが、当社としてはニーズに応えられていると感じている。
価格競争も当然あり、それが今回の破産申請に繋がった部分もあるが、前向きに捉えればそういった競争は業界の健全化につながると考えており当社としては歓迎している。
比留間 価格競争だけに陥るとやはり苦しいため路線も当然競争の一つ。当社としての目標は、より多くの旅行者がより多くの選択肢を選べるというマーケットを作っていくこと。ただただ自分達だけがダンピングしてマーケットを取っていくのではなく、マーケットを醸成していくというスタンスで展開をしていきたい。
比留間 個人的な見解だが、徐々にフルサービスとLCCの垣根はなくなってきていて、ある意味定義も曖昧。
LCCと言うと、ポイントトゥポイントの単路線だけを粛々と短い時間で運航するというのがビジネスモデルだったが、当社の場合でも東南アジアやヨーロッパ、中東、オセアニアなどシンガポール以遠でネットワークを繋いで、現在では70以上の都市へ運航している。そういったコネクションなど、新しい価値をLCCとしても提供できている。結果として、それがフルサービスに寄ってるという見え方にもなるかもしれないが、結局は旅行者のニーズにだんだんとフォーカスが合ってきた結果ではないかと感じている。
比留間 明確なセグメント分けはないが、やはりフルサービスを求める方もいて、LCCで気軽に行きたい・お得に行きたいという方もいる。結果としてそれがグループとして、裾野を広げるということに繋がっている。基本的にはシンプルなサービスを提供してその分SQより安価な運賃を提供することがスクートのビジネスモデルなので、グループ内のポジションとしては一般的なLCCの定義とあまりぶれていない。