【インフィニセミナー】35周年向けコンサル強化を強調、「海外旅行戻る?戻らない?」旅行会社らのパネルディスカッションも
「今後の旅行業界の展望」と題したパネルディスカッションでは、各パネリストが社内環境や日本人出国者数の推移予想などの質問に○か×で回答し、議論を展開した。
まずは「従業員満足度(ES)は高い」かとの質問に対して。○とした井上氏は、「コロナ禍を通して満足度(を測る内容)が大きく変わった」として、主にフレキシブルな働き方について言及。同社ではリモートワークなどを導入しており、働きやすい環境の整備に取り組んでいる。
また、リモートワークでは社員間のコミュニケーションが希薄化するとの懸念から、ランチ会など定期的なイベントも実施しているという。
同じくリモートワークを導入していると話すトラベルプラザインターナショナル(TPI)の幸徳氏。オペレーション部隊ではお母さん社員が多く活躍しており、オフィス勤務の場合はフルタイムで働きにくいこともあったが、リモートワークによりその懸念も払拭。双方にとってWin-Winな環境が作れたという。
問いに○と回答した令和トラベルの受田氏は、実際にネットプロモータースコアを活用したアンケートで従業員満足度を測っていることを明かした。「この会社をオススメしたいか」などの質問に0~10の11段階の回答を求めているとのことで、現在高い満足度を示しているようだ。
海外旅行市場、戻る?戻らない?
次に「日本人出国者数は2019年の2000万人に戻る」かとの質問では、TPI幸徳氏が×と厳しい見方を示した。
その主な要因としたのが「人口減少」。特に若い世代が先細ることを懸念しており、「2030年には約3人に1人が65歳以上の高齢化社会になる。私もそうだが65歳で海外旅行の意欲があるかと考えれば、あまり自信がない」と話した。
2000万人を達成するには、「なにかしらのブームが起こらないと難しい」とも述べており、仮に達成したとしても「その後はどんどん厳しくなってくる」と予想した。
これに対し異を唱えたのは日本橋夢屋の清宮氏。幸徳氏が挙げた課題を考慮しても、「1億2000万人という人口がいて、2000万人はその内の僅か16%」と述べ、例として、2019年の人口に対する海外出国者数割合は韓国約55%、台湾約73%だったことから「(海外旅行市場は)潜在的な成長余地が多くある」との見方を示した。
清宮氏は、円高や所得向上、働き方改革などの変化で状況は大きく変わると見ており、「3年以内には2000万人を超える」と予想した。
全パネリスト「わが社の未来は明るい」
続いての質問は再度各社の状況について。「わが社の未来は明るい」かとの質問ではパネリスト全員が○と回答した。
TPI幸徳氏は「若手社員の成長」を要因とし、「社内が明るく活気がある」と話した。来年には新たに3名の新入社員を迎える予定で、今後積極的に新卒採用を進める方針のようだ。その他、B2Bホテル予約サイトや欧州ランドクルーズなどの展開を進めており、「新しい商品・取り組みを進めることで、明るい未来ができるだろう」と発信した。
令和トラベルの受田氏は、従来の団体旅行からFITが主流となる中で、ある程度自由度を確保しつつワンストップで海外パッケージツアーを購入できる同社のサービスに自信を覗かせた。加えて、20~30代のユーザーを多く抱えていることも強みの一つとして、今後は国内旅行やグローバル展開も視野に入れる。
最後の問いは、「今後のインフィニに期待している」か。こちらも全員が○としており、清宮氏が期待としたのがセミナーで言及された「コンサルティング」に関して。日本橋夢屋では、自動発券やNDCの運用を実際にインフィニ協力のもと進めたとのことで、同社の自動発券比率は約90%まで上がったという。
幸徳氏は、業界でもDXへの取り組みが注目される中、日本国内の7割を占める中小旅行会社は「自社でのシステム開発が難しい。ここのDXの鍵を握るのがGDS」と言及し、「テクノロジーの進化に対するリーダーとして進めてほしい」と期待した。
これに対し、インフィニの井上氏は「私たちのビジネスはB2Bであり、旅行会社の販売があって初めて成り立つもの」とし、NDCの登場や運賃形態も複雑化する中で、「それらを如何に分かりやすくできるか、旅行会社の業務を減らし楽に販売できるようにできるかが重要」と語っており、「マーケットインの考え方で、旅行会社に寄り添ったサービスを提供していきたい」とパネルディスカッションを締めくくった。