オーストラリア、25年には完全回復へ、現地業者からも熱視線
オーストラリア政府観光局(TA)アジア地区・航空担当副局長のアンドリュー・ホグ氏が8月26日に旅行業界メディアの取材に応じ、日本人訪問者数を早期に2019年水準へ回復する目標を語った。TAは今年5月には世界遺産キャンペーンを発表するなど日本市場向けの活動を積極的に続けてきているが、この8月26日と27日には長野県長野市で商談会「オーストラリア・マーケットプレイス・ジャパン(AMJ)」も開催。今後も業界と消費者のそれぞれに向けた働きかけを積み重ねることで完全回復をめざす。
オーストラリアへの日本人訪問者数は、2024年3月までの12ヶ月間では31%減で、同期間の出国者数全体の45%減を上回っていたが、最新のデータでも6月までの12ヶ月間で全体の39%減に対してオーストラリアへは17%減と引き続き先行して回復。ホグ氏は、コロナ前の2019年水準への回復を遅くとも2025年中に達成したいと明言した。
今回のAMJは隔年で実施しているものだが、今回はセラーの数が62社72名で過去最多を更新。人数は2年前の東京での開催時から約1.5倍に増加した。現地の州政府観光局などから日本市場への期待の高まりは今年6月のレポートでも書いた通りだが、個別の企業レベルでも同様に高まっている様子が見て取れた。
羽田/ケアンズ線撤退、影響は
日豪間の航空路線では、ヴァージン・オーストラリアが来年2月で羽田/ケアンズ線から撤退することを発表しているが、ホグ氏はもともと機材が小さいこともあって総座席数に占める割合は5%程度に留まると説明。日豪間路線全体では旺盛な訪日需要もあって座席数がコロナ前よりも49%増と大きく拡大しており、今後も全日空(NH)のパース線再開や日本航空(JL)のメルボルン線増便などポジティブな話題も続くとした。
メディア露出強化、B2Bと両輪で展開
直近のTAの活動では、クレアトラベラーで100ページ超のボリュームでの特集掲載や、全国ネットの情報番組やドラマ「ブラックペアン2」などテレビ放映も実現するなどメディア露出も強化。今後も、5月に開始した世界遺産キャンペーンでオーストラリアが持つ20の世界遺産の魅力を発信し、9月のツーリズムEXPOジャパンの出展ブースでも世界遺産を打ち出していく。またホグ氏は、以前にオーストラリアを旅行したことのある消費者を意識して現地の最新プロダクトを定期的に紹介していく必要性も指摘した。
また、業界向けでも4月に東京、名古屋、大阪の3都市で業界向けのセミナーを開催したほか、MICE分野に特化した現地商談会・視察イベントをこれまでの「ドリームタイム」から「オーストラリアNEXT」へとリブランドして9月にケアンズで開催する。10月にはeラーニングプログラム「オージー・スペシャリスト・プログラム」の資格取得者のみを対象とする同様のグローバルイベント「G'day Australia」をパースで実施する計画で、いずれも日本からの参加を予定。ホグ氏は、「ツアーなどの旅行商品が消費者の手に届く環境でなければ我々の活動が成功することは難しい」とし、今後も旅行業界と連携しながらマーケティング展開を続けていくと強調した。
大阪・関西万博の公式マスコットに「ルビー」
このほか、2025年には大阪・関西万博でオーストラリア館を開設し、2022年からTAのグローバルキャンペーンの顔となっているカンガルーのぬいぐるみのキャラクター「ルビー」を館のオフィシャルマスコットに起用。来場する消費者に向けて観光を含めたオーストラリアの魅力を広くアピールする。
さらに、2032年のブリスベン・オリンピック・パラリンピック大会に向けて、2027年と2029年にそれぞれ決定している男子と女子のラグビーワールドカップなど各種のスポーツイベントをフックとした需要喚起も続けていく。