急激に日本市場でのプレゼンス高めるアコー、ロイヤリティプログラム「ALL」による顧客の囲い込み進める
仏アコーは先月、リブランドによる国内ホテル22軒の一斉開業を迎えた。現在、国内の同社ブランドホテル数は計46軒。これにより、国内で展開する外資系ホテルで施設数3位のIHGとほぼ同水準となるなど急激に日本市場でのプレゼンスを高めている。
一斉開業を機に行われたメディア向けのイベントで、同社アジアCEOプレミアム、ミッドスケール、エコノミー部門のガース・シモンズ氏は「今後、年間を通して1500室以上、中長期的には、施設数を現在の2倍に成長していきたい」と語っており、"戦略的重要市場"と位置付ける日本国内で引き続き積極的に開業を進める方針だ。
アコー・ジャパン代表取締役のディーン・ダニエルズ氏によると、今後の展開において、現時点で新たな買収による拡大の計画はなく、新規開業及びリブランドによる展開を予定しているという。
なお、今回一斉開業を迎えたのは、以下22軒。当初は「メルキュール能登リゾート&スパ」を加えた23軒の開業を予定していたが、地震の影響で同ホテルは今現在開業時期が未定となっている。
宿泊料金にビュッフェ形式の夕朝食、ラウンジのドリンクやおつまみ、温泉、アクティビティなどを含んだオールインクルーシブで開業した22軒のホテルでは、リブランドに合わせ改修を実施。客室には各地の絶景や伝統文化を用いたデザインを採用しており、「グランドメルキュール八ヶ岳リゾート&スパ」(以下:グランドメルキュール八ヶ岳)では、八ヶ岳を背景に伝統工芸品「甲州印伝」からインスピレーションを受けたアートを施している。
一部のホテルではアクティビティ施設なども新設されており、グランドメルキュール八ヶ岳では全天候型アクティビティ施設「杜の8(もりのえいと)」をオープン。元宴会場だった場所を立体遊具やボルダリング、ドリフト三輪車など、子供から大人まで楽しめる施設へと変貌することで、ファミリー層の取り込みを強化。
ダニエルズ氏は「ファミリー層が多いこの地域に合わせプレイルームを設置することで、天候の悪い日も中で遊べる。子供にとっては楽しさを、親御さんにとっては温泉やラウンジで癒しを同じホテルで実現することができる」と、その狙いを明かしており、実際にオープン時の予約ではファミリー層が多く見られたという。
なお、都市部や観光中心地を"母屋"とした場合、その"離れ"に位置する今回の各ホテルでは、「#はなれ旅」をテーマに、ホテルが立地する自治体と連携し、絶景や文化、伝統などを訴求する。また、「#はなれ旅」の一環として、グランドメルキュールブランドの5つのホテルではオリジナル体験プログラムを展開。八ヶ岳では、星空案内人の資格を持つスタッフが、同ホテルの屋上展望デッキで鑑賞会の案内を行っている。
一方、「#はなれ旅」にて地域の魅力を訴求する上では、オールインクルーシブの場合地域は恩恵を受けにくいとの懸念もあるが、それに対しダニエルズ氏は「我々が地域に観光客を呼びこむことで、日中に地域で様々な体験が行われる」と述べており、各ホテルがそれぞれの地域における呼び水となる考えを示した。実際に各ホテルでは地域毎の体験等の提案を実施している。