スポーツ・文化×観光の課題は?「高付加価値」ツアー造成のポイントは?シンポジウムや4省庁連携セミナーで議論
高付加価値ツアーはマネタイズ・持続性が課題
観光業以外のステークホルダーとしっかりとしたコミュニケーションを
高付加価値な体験の創造には適切なプライシングが重要、マネタイズ化で持続可能な観光を
続いて山下氏は、高付加価値な体験を作り出すために地域で取り組むべき内容について質問。これに対し江崎氏は「自分の地域を良くすることだけでは観光をやるうえでは十分ではない。経済効果も重要だが、もう一つ上段の目的を皆で共有するのが重要」と話した。さらに観光商品の「品質」管理について、「自分たちでないとローカルにとって何がベストなのかはわからない。自分たちなりの基準を持つべき」と、自らチェックする機能を設ける必要性を指摘した。
立花氏はコロナ禍で柳川の川下りを担う若手船頭が辞めてしまい、人手不足にもかかわらず舟下りで値下げ競争が起きている現状を説明。柳川を持続可能な観光地にするためには船頭の賃金向上による若者の確保が重要であるとし、次世代につなげるためにはルーティン化・マネタイズ化が必要であることを強く訴えた。
加えて同氏は「謙遜する時代は終わった。何かをすると対価が生まれる、必ずお金が発生するのが当たり前」と強調。「いつでもその金額さえ払えばやってもらえる仕組みができると、お客様がファンになり、何度も来てもらえるようになる。各地域がそうなっていけばもっと豊かな観光立国になるのでは」と語り、御花がその成功事例となるよう取り組んでいく考えを話した。
多田氏は「もともとあるものをさらに昇華させ、レベルを上げることでインバウンドの受入ができるようになるのでは」と示唆。武道ツーリズムのショーをあえて作って金額をあげて旅行者に不信感を与えるのではなく、既存のもの価値を踏まえたうえでプライシングし、持続可能な観光としていく必要性を説いた。
同氏は「高齢な先生方ほど『お金はいらない』というが、受入側が支えたいという意思をしっかり見せ、収益の活用方法などを話すべき」と主張。「ボランティアで運営できているから大丈夫、ではなく、どれだけの人間がいかに時間を使っているか、どれだけのお金が本来動くべきなのかということを認識するともに、この価値にはこれくらいの価格、というのが分かれば価格反映できる」と話した。
ブラッドショー氏も「バリューベースプライシングを導入し、お客様がどこまでの価値を感じたかに基づいてプライシングするとWinWinの関係になるのでは」と示唆。同社がインバウンドツアーで外国人旅行者と陶芸家との交流の場を設けた際、陶芸家が訪問を喜び自分の作品を贈呈してしまった例を紹介し、「職人が手を止めて話す、その時間を我々は買っている。地方は特にそうだが、自分たちの価値を理解していない人が多い。どうプライシングすべきかを相談しないといけない」と話した。
加えて職人や地域の人々など「観光のプロではない人たちの時間を借りる」際の注意点として、協力し続けてもらうために送客側の旅行会社が顧客のニーズをしっかり把握し、職人や地域の価値観を理解してマッチングさせる必要性を指摘。彼らの観光に対するイメージが「団体ツアーのバスがドーンと来て人がいっぱい来て、お土産を準備しないと駄目で写真を撮られるという昔のイメージ」で止まっている場合があることから、観光がどう変わったかという教育もある程度必要になるとし、コミュニケーションを密にとり、納得してもらったうえでの商品造成も重要であるとした。
訂正箇所:2ページ目 登壇者欄
誤:オズ 代表取締役 江崎貴氏
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正:オズ 代表取締役 江崎貴久氏
お詫びして訂正いたします。