会社の作り方、1人社長の始め方-MATCH 松宮英範氏
前回のコラムで、大手旅行会社を辞めて1つだけ後悔しているとすると、 「あと10年早く起業すればよかった」とお伝えしましたが、これは、前述した2つの規制緩和からするとちょうど良いタイミングとなり当てはまらないのですが、学生のように自由な発想や発展には到底遅すぎた、という意味ではその通りなのです。50歳で荒波かつ逆風に飛び込み、辛い航海も厭わない大冒険のつもりが、お陰様で順風満帆なものになりつつある時、もっともっと見果てぬ地を目指し、果てしなく遠くへという気持ちがどうしてもそこまで湧き立ってこないのであります。
これこそが「あと10年早く起業すればよかった」の真意で、独立が40歳であったなら、20代のバックパッカー(そうなんです!この話もぜひ、いつかのコラムで)の時のように「地球の歩き方(別名:「地球の迷い方」失礼!)を一応は手にしながらも、今の感覚のみを頼りにどこへ行くか決めるような、もう少し面白い会社経営も出来たかもしれないな、と加齢を恨んだりします。
でもでも…でも!遅すぎる船出だったかもしれませんが、そう、人生は100年時代なのです。ちょうど折り返しでしかありません。作家の五木寛之氏が古代中国の五行思想から人生100年を「青春」「朱夏」「白秋」「玄冬」の4つの季節に分けています。私の場合、生まれてから大学卒業までが青春、社会人になり賃金をもらい勤労していた50歳までが朱夏、起業し人生を謳歌する白秋が今まさに始まったばかり、75歳からの玄冬もまだまだ先の話です。4つの時代で一番大切なのはやはり、25~50歳の朱夏でしょうか。ここでしっかり人生の方向性を定めていれば実りの秋を迎えられる。わたしは雇用され続けた25年でしたが、人生の術も酸いも甘いも、全て前職の旅行会社時代に学んだおかげで、白秋が味わい深いものになっているようです。
次回は1人社⾧のリアルをご紹介しようと思います。
株式会社MATCH代表。大学卒業後、大手旅行会社で26年勤務。主に富裕層向けの海外ツアーを手掛ける。50歳を機に、コロナ禍の2021年に独立起業し、ニッチなホテルのプロデュースと集客支援を行う。インバウンド向けのミニホテルや長期滞在型のコンドミニアムホテル、関東近郊のリゾート地で展開する一棟貸切タイプのラグジュアリーヴィラなど現在12施設の運営や集客に携わる。その他、集客にお困りの施設の宿泊コンサルタントや、神奈川県で第3種の旅行業登録、各種講演や大学の講師なども務める。大阪出身、横浜市在住。