会社の作り方、1人社長の始め方-MATCH 松宮英範氏
今年からコラムを担当させて頂いているMATCHの松宮英範です。宿泊施設の運営や集客支援・コンサル、第3種旅行業で生業を立てています。無事に2回目の掲載となり、ひと安堵、年末まで1年間勤めます。さて、前回は旅行業界の独立起業に関してお伝えしました。今回はその続編です。
まずビジネスを始めるにあたり、個人事業主か株式会社(合同会社)かを選択しないといけませんが、私は迷わず後者にしました。自分1人でビジネスを始める場合、当初は売上も少ないので個人事業主からスタートし、売上がある程度超えたところで法人成り、という順序が一般的なようですが、26年もサラリーマンを続け、毎月25日は給料日という生活が染みついた身には、「売上から経費を引いて、残った金額で生活せよ」という個人事業主のやり方はちょっと無理な気がしました。「売上が0円でも1000万円でも、毎月決まった給与を貰う」やっぱり、これ!黒字なのか赤字なのかは会社の話で自分の生活とは別の話。1人社⾧の場合、法人から1名しかいない社員/自分に給料を払うだけで、どこか滑稽でもあるのですが、それでいいのです。毎月の安定感があり、実にスッキリします。
会社の場合、今は株式会社か合同会社の2択です。まだたまに聞く有限会社はもう新規で設立は出来ません。「株」というものを発行してみたかったので、設立費用がやや高い株式会社にしましたが、実際は、「発行株式:500株」などとして役場に登録するだけなので株券などはありません。資本金は退職金を充て500万円ですが、これは旅行業登録の条件をクリアする為で、2006年会社法が新しくなり今は1円でも設立ができます。
旧制度では、株式会社は最低1000万円必要とされていた資本金が1円でもOKとなり、また、取締役3人監査役1人を選任する必要がありましたが、この規制も撤廃され取締役1人でもOKになりました。今でも「会社って1人でも作れるの?」「資本金たくさん必要だよね?」と質問されます。新会社法設立から20年近くたっても誤解されたままで、独立や起業に関心のない人が多い証拠ともいえます。
規制緩和は素晴らしい!仮に法改正前に独立していたら、親族一同に取締役や監査役になってもらっていたのでしょうか…。またの機会でお伝えしますが、旅館業法も2018年に劇的に改正され誰でもホテルオーナーになれるようになり、今の私があります。新会社法も新旅館業法も50年以上ぶりの改正だった筈なので、2020年に独立した私はとても運がよかったということになります。そして、これからの皆様も…。こういう話を講師を引き受けた大学ですると、「来週にでも会社作ろうかな…」という猛者が1人、2人と必ず出現します。実際には1円だけでは無理で、登録するのに数十万、毎年赤字でも法人税の支払いなどが発生しますが、まずは会社を作ってから何して稼ごうか、と考えられる学生脳が羨ましくもあります。
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