24年は業界の完全復活元年へ、「海外旅行復活の材料は多い」-JATA髙橋会長
日本旅行業協会(JATA)は、1月10日に新春記者会見を開催した。冒頭髙橋広行会長は「能登半島地震でお亡くなりになられた皆様方のご冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げる」と述べた。JATAとしては、被災地へのボランティア派遣を検討するとともに、観光を通じた支援策を講じる方針であることを示した。
今年9月26日~9月29日には、東京ビッグサイトで「ツーリズムEXPOジャパン2024」の開催を予定しており、イベントではその半年後に控える大阪・関西万博の特設コーナーを設けるなど、万博の魅力発信に取り組むと同時に、「復興支援に資するプログラムの検討も進めていきたい」(髙橋会長)。
また、JATAでは災害時の情報共有機能を備えた「観光産業共通プラットフォーム」の本格運用を昨年12月より開始したばかり。国内旅行推進部部長の野浪健一氏によると、地震発生の1日16時10分から13分後の16時23分に、震度5強以上の地域に属する登録宿泊施設254軒に被害状況などの確認を行う案内を送付。大津波警報などによる避難指示の影響から翌朝時点での回答率は4割に留まったが、最終的には9割ほどの宿泊施設が回答を行ったという。
旅行業界の完全復活へ
法人海外旅行需要に期待
髙橋会長は会見で、2024年を「旅行業界の完全復活元年」として取り組む姿勢を明らかに。最も重要な課題としては「海外旅行の復活」を挙げる。2024年は海外旅行自由化から60周年。髙橋会長は、復活に関しては為替の問題が大きな影響を及ぼすとしたものの、「海外旅行復活の材料は多い」と話す。
一つは、昨年11月に日米両政府間で交わされた「日米観光交流年2024における協力覚書」で、相互観光往来の回復、拡大を目的に、さまざまな施策やイベントを予定しており、全国464件の姉妹都市や野球などスポーツを通した交流機会の創出が期待される。
また、髙橋会長が大きく期待を寄せるのが法人の海外旅行需要で、コロナ禍で長らく行われていなかった法人団体旅行や、インセンティブ旅行が復活すると見ており、「海外団体旅行が動き出し、それが個人旅行にもインパクトを与え活性化に繋がれば」と述べ、「なんとか2024年の早い段階で海外旅行復活の道筋をつけていきたい」と語った。
また、海外旅行復活に加え重要な課題としたのが、高付加価値化など、旅行業界が目指すべきツーリズムへの対応。コロナ禍を経てビジネス環境が大きく変化するなか、「業界の存続にはビジネスモデルの変革が不可欠」で、「旅行会社ならではの高い付加価値を提供することで、存在価値を示し、高い収益性を実現していきたい」(髙橋会長)。
高付加価値化を実現する一例としたのが、「アドベンチャートラベル」で、世界市場規模は70兆円を超えるとも言われるなか、日本ではまだまだ発展途上の段階。JATAでは今後経営フォーラムなどを通して会員企業への啓発を促すとともに、自治体、DMOとも連携してマーケット拡大に取り組む。