訪日旅行、人材不足が大きな課題、質と量のバランス重視を-JATA経営フォーラム
水際対策緩和で急増する訪日需要への対策急務
サステイナブル・アドベンチャーツーリズムで質の拡大を
日本旅行業協会(JATA)は3月31日まで、オンラインで「JATA経営フォーラム2023」を開催中だ。テーマは「旅行業再生~質的転換へのアクション~」。訪日旅行のパネルディスカッションでは、「ウィズ・ポストコロナの訪日旅行に向けて~訪日旅行再生に向けた課題と質的変換~」を掲げた。モデレーターのJTBグローバルマーケティング&トラベル代表取締役社長執行役員の黒澤信也氏は、訪日市場が回復傾向にあるなか「新たに見えてきた動向や、課題を整理しながらディスカッションしていくとともに、今のペースを維持して拡大しながら今後質的転換をどうはかるかについても議論を深めていきたい」と話した。
JATA訪日旅行推進委員会 ウィズ・ポストコロナの訪日旅行に向けたワーキンググループ座長
JATA訪日旅行推進委員会副委員長
水際対策緩和で訪日市場は急速回復、22年見込みは2110万人
ディスカッションはまず、黒澤氏が訪日解禁までの歩みを振り返った。政府は2022年3月1日、ビジネス客や留学生などを対象に、1日当たりの入国者数5000人を上限に受け入れを開始。以後は規制緩和が徐々に進み、10月11日には入国者数上限の撤廃、短期滞在者のビザ取得免除、個人自由旅行の解禁など大幅に水際対策を緩和した。こうした緩和の動きに合わせて訪日外国人旅行者数は徐々に回復。このうち観光客は22年6月はわずか252名だったが徐々に増え、10月は28万人9000人と急増。12月は119万5000人と100万人を超えた。
訪日旅行者数全体を見ても、12月は137万人で19年の54.2%まで回復。黒澤氏は「(回復が遅い)中国市場を除外すると19年の7割近い回復になっており、ある意味予想を上回る回復」と話した。 訪問者の国・地域別傾向としては、22年10月から12月のデータを提示。韓国が全体の32%を占めるトップで、次いで台湾が11%、米国と香港がそれぞれ9%と続いたという。旅行者1人当たりの旅行支出は、東南アジアが最も伸びて46.3%増の20万2317円。米国も32.2%増の26万3243円と好調だった。
また、黒澤氏は韓国やタイ、シンガポール、オーストラリアと比較した水際対策緩和後の回復率をグラフで掲示。今後他国と同じように回復すると仮定した場合、23年の訪日外国人旅行者数は2110万人で、19年の66.2%まで回復するとの見通しを示した。