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2023年、観光業界は「再生」するのか、人材不足などの課題も-年頭所感(1)(協会、団体)

 新型コロナの流行が続くなか、昨年10月11日には入国者数の上限が撤廃され、訪日個人旅行も解禁された。これにより海外旅行にも追い風が吹き、年末年始の海外旅行者も増加。JTBの旅行動向見通し(2022年12月23日~2023年1月3日)では前年比6.5倍の15万人を予測している。国内旅行も全国旅行支援により回復傾向にあり、業界にようやく明るい兆しが見えてきた。

 そうしたなかで迎えた2023年。新型コロナの第8派とインフルエンザの同時流行への懸念はあるものの、引き続き旅行需要の回復に期待がかかる1年となりそうだ。そんななか、海外旅行の動きの鈍さ、観光業界の人手不足などの課題もある。観光業界の団体や大手旅行会社、OTA、航空会社、GDSなどのトップたちは今年をどう見ているのか。毎年恒例の年頭所感では、6回にわたって各分野のトップの年頭所感について、全文掲載する。今回の第1弾では国交省・観光庁と各業界団体のトップのものを紹介する。

日本旅行業協会(JATA)会長 髙橋広行氏

約2年半以上に及ぶコロナ禍を経て、昨年はツーリズムの復活に向けた新たな一歩を踏み出した年となりました。10月の水際対策の大幅緩和や円安もあいまって、訪日旅行が急速に回復するなど、ようやく国際交流の動きが活発化してきました。国内旅行においても県民割や全国旅行支援の追い風もありマーケットの回復が見られ、旅行業界全体としては明るい兆しが見えてきました。そうしたなかで新たに迎えた2023年は、海外旅行をどのように…… 続きを読む



全国旅行業協会(ANTA)会長 二階俊博氏

さて、旧年は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻など、世界情勢が大きく変化する中、Withコロナを前提とした新しい生活様式の浸透や、感染拡大防止への対応を図った上で、コロナ前の経済活動を取り戻すべく、創意工夫に励んだ一年となりました。旅行・観光産業の昨年を振り返りますと、長く暗かったトンネルにようやく出口の光が差し込んできたのではないかと存じます。約3年に亘り、新型コロナの影響を受け続けてきた事業者は、依然……続きを読む







国土交通大臣 斉藤鉄夫氏

現在、我が国は、国難とも言える状況に直面しています。少子高齢化や人口減少に伴う国内需要の減少、労働力不足等の厳しい状況に直面する中、令和2年からの新型コロナウイルス感染拡大は、我が国の社会経済や国民生活へ甚大な影響を及ぼしました。また、ロシアによるウクライナ侵略を契機として、世界的な物価高騰、円安が進行し、経済に大きな影響を与えているほか、エネルギーの安定供給が脅かされるなど、外交・安全保障環境も……続きを読む






観光庁長官 和田浩一氏

人口減少を迎えている我が国では、観光先進国に向けた取組の結果、2019年までインバウンドが飛躍的に増加するなど、地域や観光産業の活性化に寄与してまいりました。他方、コロナの影響により、年間4.8兆円まで達したインバウンド消費が一時的に消滅し、日本人の国内旅行消費は半減するなど、観光関連産業は、深刻な影響を受けております。このため、国内観光需要の喚起のほか、観光地や宿の高付加価値化、デジタル化など、観光関連産……続きを読む






日本観光振興協会会長 山西健一郎氏

昨年は国内観光については、全国旅行支援が開始されるなど、コロナ禍から観光が再起動した1年となりました。インバウンドについては、コロナ禍の前にまだ回復したとは言い難い状況ですが、10月に政府が入国規制を大きく緩和し、徐々にお客様が戻りつつあります。全てが思い通りにというわけにはいきませんが、日本の観光は着実に再起動をはじめ、次の時代へと動き始めています。弊協会といたしましても、昨年は観光の再起動に向け……続きを読む






日本政府観光局(JNTO)理事長 清野智氏

新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、約2年半もの間、観光業界は甚大な影響を受け、JNTOにとってもコロナ前のようなプロモーション活動をすることができない、非常に苦しい状況が長く続きました。このような中で、皆様が事業の継続に向けて懸命にご尽力されてきたことに、改めて敬意を表します。昨年10月11日、ついに訪日外国人観光客の受入が本格的に再開しました。JNTOでは、水際措置緩和が発表されてすぐに個人観光客の……続きを読む






日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)会長 大畑貴彦氏

さて、新型コロナウイルスの発生から3年が経過しました。昨年10月11日に新型コロナウイルスの水際対策が大幅に緩和されました。入国者数の上限が撤廃され、個人の外国人旅行客の入国も解禁されるなど、制限は、ほぼコロナ禍前の状態に戻りました。しかし同時期に国内の観光需要の喚起策として、政府が新たに全国を対象に「全国旅行支援」や、スポーツ観戦や映画などのチケット価格を割り引く「イベント割」を開始、また急激な円安…… 続きを読む





観光産業を構成する中小及び個人事業主連合会(TIFS)会長 岡田直樹氏

観光産業に従事される皆さま、明けましておめでとうございます。今年は我々観光産業にとって、少なくとも需要面では過去3年に比べれば「良い年」になることは間違い有りません。先ずはそれを素直に歓び、希望を持って、前向きな姿勢で一年を過ごしたいと思っています。一方、多くの中小企業、個人事業主にとって、2023年は正念場でも有ります。コロナ渦を乗り切る為の借入金の返済開始、需要拡大に対応する為の運転資金や人…… 続きを読む



駐日外国政府観光局協議会(ANTOR-JAPAN)会長 フレデリック・マゼンク氏

1966年に設立された駐日外国政府観光局協議会(ANTOR-JAPAN)は、日本国内の外国政府観光局の代表から成る団体です。旅行・観光分野に携わる関係者間の連携を通して、アウトバウンド観光促進及び強化を目的に活動をしています。観光分野は一産業に留まりません。異文化相互理解の促進にも寄与し、国際社会をより良く、安全且つ友好的な世界となることに貢献している産業だと考えています。過去3年間、世界中の国や…… 続きを読む

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