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石垣の観光は量から質の転換へ、短時間勤務者活用で人材不足に挑む-石垣市長 中山義隆氏

  • 2022年9月5日

ブーム後の需要減少を経て量から質への転換図る
保育士を県外から確保、島内の主婦らを観光産業に

-観光産業はこの2年半にどのような影響を受け、市ではどのようなサポートをしましたか。
額に当てて測る簡易体温計をホテルに配布、検温作業を簡素化した

中山 コロナと付き合いながら少しずつ観光を進める方策をとってきましたが、2019年に147万人だった観光客が2020年は64万人に、2021年には54万5000人まで減少し、クルーズ船はゼロでした。ホテルは大変厳しい状況となり、部屋数に応じた支援金や経営に対する支援金を支給しました。ほかにも、観光業界の皆さんに集まってもらって出てきた問題点や課題を吸い上げて、政府や県に上げたりしました。

 来島自粛要請などを経て、受け入れの準備体制が整ったときには、市民の理解を得られるようホテルに検温など感染予防策を徹底してもらったうえで、受け入れを再開しました。もともと青年会議所や地域での活動で観光業界とも付き合いがあったので、調整もスムーズにできたと思います。

-いつ頃から石垣島に観光客が戻り、コロナ前のレベルに回復すると想定していますか。

中山 7月の段階で国内の観光客はほぼ戻り、ホテルの予約は8割9割埋まり始めています。海外に行けないこともあり、高いグレード、値段の高い部屋から埋まっていく状況です。8月もほとんどキャンセルがない。新しい変異株などが出なければ、国内観光客は年内に2019年の数字にほぼ近づき、来年にはコロナ前と同じ110万人程度に届くと見ています。

-コロナ禍中、県内需要は増えましたか。

中山 GoToトラベルの後に、「おきなわ彩発見キャンペーン」という県内の旅行割引制度がありましたが、沖縄本島の人は本島の高級リゾートに半額で泊まりに行くことが多く、離島に足を運びませんでした。コロナ禍、その後の支援事業で県内客は増えていません。

-観光が地元の環境に及ぼす影響をどう捉えていますか。

中山 観光客の増加で、協会にも属さず安全性を担保できない儲け目当ての参入者が入り始めています。石垣の評判を落とすことになりかねないので、ある程度規制をしていきたい。カヌーやダイビング業者の乱立による環境への悪影響もあるでしょうし、静かなところに大人数が集まるなど、島の良さを味わえない状況を避けるのが今後の課題と捉えています。西表島が世界自然遺産に登録され、入島制限し、認証を受けた業者で1日の人数制限をしていますので、そうした形になっていくべきだと思っています。

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