石垣の観光は量から質の転換へ、短時間勤務者活用で人材不足に挑む-石垣市長 中山義隆氏

  • 2022年9月5日

ブーム後の需要減少を経て量から質への転換図る
保育士を県外から確保、島内の主婦らを観光産業に

 新型コロナウイルスの感染拡大当初は海外旅行の代替地やコロナ疎開の目的地となった石垣島。その後の来島自粛要請から観光を再開したものの、2年半にわたるコロナ禍の影響は大きい。今後の見通しや観光施策について、トップとして自らもセールスを行う石垣市中山義隆市長に現状を聞いた。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人岡田直樹)

今年2月の選挙で当選を果たし4期目となる中山市長。インタビューはオンラインで実施した

-はじめにご自身のご紹介をお願いいたします。

中山義隆氏(以下敬称略) 1967年に生まれ高校まで石垣島で育ち、大学と就職で10年島を離れましたが、28歳のときに家業を継ぐため島に戻り、青年会議所でまち作りやボランティア活動をしていました。38歳のときに市議会議員になりましたが、なかなか提案を受けてもらえず、自分がやるしかないと2004年に42歳で市長になり、現在4期目です。

-石垣島のおすすめ観光スポットや食を教えてください。

中山 石垣は海だけではなく、山や川も楽しめます。日没後にクリスマスのイルミネーションのように山肌を彩るヤエヤマヒメボタルや、夜中に咲いて朝に散ってしまうサガリバナなど季節ごとの自然も見どころ。石垣牛、てびち(豚足)が入った沖縄のおでんなど食べ物は何でもおいしいです。ディープな石垣を体験してもらいたいと思います。

-コロナ禍以前、石垣島の観光産業はどのような状況でしたか。

中山 2013年の新石垣空港の開港以来、石垣市への観光客数は伸び続け、2019年には147万人になりました。このうち国内客は110万人。海外は、主に台湾からのクルーズ客が年間約32万から33万人。空路も台湾から夏期に週2便の運航で約1万人、香港からも週6便の通年運航があり、7万から8万人が訪れていました。

 2001年には小浜島が舞台のドラマ『ちゅらさん』ブームとなり、観光客が増えたのですが、レンタカーやタクシーなど二次交通が整備されておらず、団体は竹富、西表、小浜など4島から5島を1日で巡るような、利益優先の受け入れ状況でした。その後ブームが去って観光が一気に冷え込んだ経験から、新空港開港で再び観光客が増えたときは、1人1人の満足度を高める量から質への転換を打ち出しました。業界には丁寧な対応で石垣のリピーターになってもらい、安定的に来てもらう観光地にしたいと説明し、今も継続して取り組んでいます。

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