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民事再生を経て再就任した近藤代表に聞く、ホワイト・ベアーファミリーの現在

旅行者に迷惑をかけない再生の道を模索
旅行事業を中心に再び上場を目指せる組織へ

-現在、WBFとしては旅行業や不動産業を行っていますが、その内容を教えてください。

近藤 旅行事業については現在、海外旅行が皆無なのでほとんどすべて国内旅行です。国内の飛行機を利用するパッケージツアーを、主として自社サイトで販売しています。ポータルサイトも一部使っていますが、販売比率は圧倒的に自社サイトの直販です。会員制も用意してメルマガを配信し、そこから販売につなげるのがメインです。方面的には沖縄や北海道が中心です。

 不動産業については、土地の仕入れ開発から物件のオペレーションまで手掛けてきた歴史があるので、ファンドやプレーヤーを含めた業界とのパイプもできました。その強みを生かせば不動産の仲介ができるのではと考えました。また、今後を考えればコロナ禍も先行き不透明ですし、この先も何があるか分かりません。旅行事業以外にも柱を作りたいという思いもあっての不動産業です。個人の住宅ではなく一棟収益マンションやアパートに特化して売買や仲介を行っています。現在は全社で55名ほど社員がいますが、そのうち5名ほどで不動産事業を行っています。

-8月にSEECとの業務提携を発表しましたが、この提携の狙いは。

近藤 今後、ますますシステムとweb販売が重要になってきますが、大手OTAには勝てるとは思えないので、集中特化したスポットでのwebシステムで、どれだけ強みを発揮できるかが勝負だと考えています。その意味でweb分野に長けたITプレーヤーと提携したいと思っていました。SEECさんはインターネット広告代理業やアプリ&ゲーム、トラベル&メディアなどを手掛けており、望ましいパートナーでした。

 旅行商品の主催はWBFで、販売や旅行者とのやり取りはすべてSEECさんが担います。WBFはエアー&ホテルの商品を造成し提供する役回りです。

-宿泊の仕入れは直接行っているのですか。

近藤 以前からホテル・旅館の仕入れは直接行っていました。民事再生に際してご迷惑をおかけした大手宿泊事業者さんなどには「取り引きはできない」と言われたり、デポジットを要求されたりしますが、以前の取引先の95%とは取り引きを再開しています。倒産したとはいえ10万円以下の債務については全額支払っており、多くの宿泊事業者の債権が10万円以下だったため、債務を残さないで関係を保てたという面もあります。

-代表取締役への再就任にあたっての抱負と、読者へのメッセージをお聞かせください。

近藤 抱負としては、旅行事業を中心に据えてもう一度、上場を目指せるような組織を作り上げたいと思っています。

 メッセージについては、私の立場から皆さんに言えることはありませんが、旅行事業についての私なりの感想はあります。いまやJTBやHISも旅行事業だけで勝負していくことはできないという考えを鮮明にしているように、旅行事業をやるにしても会社としては何か違う柱が必要だということです。それが宿泊事業なのか不動産事業なのかは分かりませんが、経営的には別の柱が絶対に必要です。

 観光産業は良いときは良いのですが、基本的には脆弱な産業だと思います。今後はインバウンドが間違いなく復活します。しかし「喉元過ぎれば忘れる」で同じことをやっていくのでは駄目。これは皆さんに対してではなく、自分自身に対する反省と戒めの言葉です。

-ありがとうございました。