民事再生を経て再就任した近藤代表に聞く、ホワイト・ベアーファミリーの現在

旅行者に迷惑をかけない再生の道を模索
旅行事業を中心に再び上場を目指せる組織へ

-民事再生を経て7月に再度代表取締役に就任されましたが、その経緯は。

近藤 2020年4月にWBFホテル&リゾーツの民事再生法適用を申し立て、民事再生のスポンサーを東京と大阪で探し回ったのですが、ほとんどのスポンサー候補は不動産、つまりホテルには興味を持ってくれるものの、旅行業は要らないというスタンスでした。旅行業とホテル業に分けてスポンサーを探し、旅行業の再生を断念する考えもありましたが、連帯債務が発生するなど切り離すのは難しい面もありました。

 そのため、旅行事業も再生できる道を何とか模索することにしました。そう決めた以上、「お客様に迷惑を掛けるわけにはいかない」と最初に考えました。私の知る限り旅行会社の倒産はイコール破産で、お客様にも大きな迷惑を掛けます。しかしそうなれば、民事再生の成功は絶対に不可能です。旅行者に迷惑をかけないためには、何としても取引先に協力してもらわなくてはなりませんでした。

 そこで一番重要な航空会社に、民事再生を申し立てる直前にお願いに行きました。旅行中のお客様が飛行機に乗れるようサービス提供の継続を頼み、お客様が支払い済みの航空券の発券も続けてほしいこともお願いしました。事前に裁判所にその方針を説明して同意を得ていたこともあり、航空会社も協力してくれました。民事再生計画を提出して、債権者集会を開き内容を認めてもらい、翌年にはホテル事業を切り離すなど計画を進めましたが、その間も旅行業は粛々と継続してきました。

 一方で私個人としての責任もあります。銀行との交渉がすべて終わったのが今年の5月。そこで代表取締役への再就任について銀行とも話し合い、旅行事業を引き受けてくれる者がいない事情も説明しましたが、聞く耳を持ってくれない銀行も当然ながらありました。私も今年で66歳ですから家族や周りの知り合いもみな反対でした。いい格好をするわけではありませんが、私も望んでやるわけではないという思いがあるのも事実だし、私以外に引き受け手がないのも事実なのです。とは言うものの、やはり自分の会社が倒産してしまったことに納得がいかない気持ちもあり、格好悪くても「もう一度チャレンジしなければ」という思いがあったことも否定はできません。

-旅行事業で再チャレンジするわけですが、宿泊事業にも再度挑戦するお考えはありますか。

近藤 旅行事業と宿泊事業はシナジー効果があると思います。実際にやってみた経験では、そのシナジー効果を現実に得ることの難しさも感じましたが、効果があるのは間違いありません。民事再生のスポンサーとの取り決めもあるので、すぐにというわけではありませんが、いずれは考えてみたいことの1つです。旅行事業者として宿泊業も手掛ける、もしくは宿泊業の一端を旅行事業者が担うことは重要だと思います。

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