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【蘇州現地レポート】続く予防・管理規制、キャンプ人気の行方は?

  • 2022年8月4日

 蘇州は中国の有名な歴史的・文化的都市であり、その観光産業は中国で連続してトップにランクされています(詳しくは前回のレポートへ)。2022年の最初の数か月、新型コロナウイルスの影響により、蘇州の観光産業は閉鎖状態(事実上のロックダウン)にありました。中国では通常、長期休暇には混雑緩和のため主要な高速道路が無料開放されますが、今年は昨年とは異なり、無料政策を実施していないため、蘇州の地元住民が夏の観光市場の主力となり、67%以上を占めています。

 今年の端午節(中国四大伝統祝日の1つで、毎年5月から6月に「龍船競い」や、ちまきを食べるなどのイベントが行われる)の休暇中、市内の景勝地には合計85万人の観光客が訪れ、レストランやショッピングなどの施設には合計62万人が訪れました。2006年に建設された蘇州市立博物館は2019年には年間400万人が訪れた人気の観光スポットで、コロナ禍で甚大な影響を受けましたが、今年の6月以降再びホットスポットになり、6月・7月のたった2ヶ月で60万人が訪れました。

龍船競い

蘇州博物館

 端午節休暇の間には、蘇州市全体で「ちまき作り」などのインタラクティブな体験と展示活動が行われました。蘇州の劇場も端午節のタイミングで再開され、50以上のプロの演劇公演と100以上の文化活動が街中で開催。街はお祭りの雰囲気でにぎわいました。蘇州庭園などの景勝地の観光も徐々に回復しています。拙政園や動物園など、人気の14の景勝地への観光客数は前年比で大幅に増加しました。

蘇州庭園

観光の回復は?

 夏休みの到来と各地での州を越えた旅行の再開は、多くの人々に観光産業の回復への希望を感じさせました。現在、中国のエピデミック状況は比較的安定していますが、予防・管理規制の実施には場所によって多くの違いがあり、好きなタイミングで好きな場所にいつでも旅行をするのはそれほど簡単ではありません。

 観光需要が短期間に爆発的に解放される可能性は低く、少なくとも10月のゴールデンウィーク休暇までに観光産業が回復できるかどうかを判断することはできません。ほとんどの州や都市では、観光客が「健康カード(新型コロナウイルスに係るワクチン接種や感染履歴、移動履歴などのすべての情報を管理するアプリ)」に出発地・目的地の住所や滞在場所、到着日と出発日、滞在期間などの情報を登録する必要があります。一部の都市では、鉄道やフライトの列車番号と座席番号まで入力する必要があります。

 例年、夏休みはグループツアーのピークであり、主な顧客グループは高齢者と学生でした。このところ中国のエピデミック予防状況は安定しており、大学入学試験の終了や小中学生の夏休みに伴い、学生などからの国内旅行のツアーの相談が非常に増えていますが、実際の申し込み件数は多くありません。観光客はまだ不安定さを心配しています。同時に、海外旅行はまだ保留中です。2019年、中国のアウトバウンド観光客の海外消費は9500億元を超え、1人当たりの消費額は6000元近くでしたが、1人当たりの国内観光市場は1000元未満でした。

 現在の状況から判断すると、国内観光の回復は短い緩衝期間としか言えません。ほとんどの観光客はまず国内・海外を問わず観光地の予防・管理規則を調べ、多くの人が申し込みには至りません。国際航空券やホテルの検索数の増加は、基本的に旅行の目的とは無関係であり、様子見の状況です。すぐに旅行するべきではないという共通認識があるようです。

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