2000万人が達成目前、今後のアウト振興は-奈良参事官に聞く

海外OTAや取引適正化、業法改正についても
「私のなかで一貫している姿勢」とは

-その一方で国内のスタートアップなどからは、海外との競争で後れを取るような規制を懸念する声もあります

奈良氏 奈良 私のなかで一貫している姿勢として「個々の案件の不安や疑問については相談してほしい」ということがあります。例えば「旅行業法の規制で引っかかりそうなところがあり、新しいことができなさそう」と思うことがあれば、是非とも観光庁に相談していただきたいと考えています。

 事業者が業法の文言だけを見て「無理だ」と思い込んでいるケースもありますが、すごく勿体ないことです。窓口はいつでも開いていますし、観光庁にはこれまでのさまざまな事例の蓄積があるので、適切にアドバイスできることは沢山あると考えています。

-OTAが興隆しているなかで、リアルエージェントの将来をどのように見ていますか。英国ではトーマス・クックが破綻しました

奈良 一般消費者が得られる情報の量が増えているなか、旅行業としては手数料ビジネスだけに頼ることは難しいと思います。今後の流れとしてはOTAすらも飛び越して、直販が増えていくでしょう。

 一方で、リアルエージェントの価値は失われていないと考えます。「サハリン大自然の旅」が良い例ですが、付加価値のある旅行商品はリアルエージェントしか造れないのではないでしょうか。行きたくてもなかなか行けなかったデスティネーションや、関心はあっても行くきっかけがなかったデスティネーションなどは、パッケージツアーでこそ集客できると思いますし、そこに旅行会社としての底力があるはずです。

-旅行会社とランドオペレーターの取引の適正化についてもお聞かせください

奈良 16年の軽井沢でのバス事故を受けて旅行業法を改正し、ランドオペレーターも「旅行サービス手配業者」として登録制にしました。ただし現時点では国内および訪日旅行のランドオペレーターのみを対象としているので、海外旅行における旅行会社とランドオペレーターの取引については、日本海外ツアーオペレーター協会(OTOA)など関係団体から、引き続き話を聞かなければいけないと考えています。

-最後に、今後の旅行業法の改正の方向性についてお聞かせください

奈良 昨年1月に改正法が施行されたばかりなので、今のところは次の改正については考えていません。まずは新たに導入されたランドオペレーターの登録制度を、実効性のあるものにしたいと考えています。また、業界からご提案をいただいている個別認可約款のあり方、例えばクルーズやクルーズトレインなどに関して、標準旅行業約款に則った取消料ではなく、実態に即した取消料を認めることなどについては、引き続き業界から話を聞きながら検討していきたいと思います。

-ありがとうございました