入社式トップ訓示、若い力とともに環境変化に対応、成長へ
▽航空会社
ANAグループ:約2800名入社
CEO 片野坂真哉氏
今日、深く心に刻み込んで欲しいことは、ANAグループにおいては「安全がすべて」ということだ。安全は経営の基盤であり、社会への責務でもある。私は入社式の冒頭に、いつも航空機の事故の話をするが、それは私を含む現在の社員のなかに、お客様が犠牲となる大きな事故を経験したものがいなくなっているからだ。我々の先輩達は、過去の事故を常に忘れず、犠牲者のご冥福を祈る気持ちをグループの全社員で共有し、絶対に事故を起こさないという信念のもと努力してきた。
安全は、乗務員など航空機のオペレーションに直接携わる社員だけのテーマではない。日常業務における社員1人ひとりの安全、お預かりした貨物の安全輸送、機内食や販売する食料品・物品に関わる安全・安心なども含まれる。また、航空券や旅行の販売を通じて、お客様の大切な個人情報をお預かりする立場にもある。「安全がすべて」と、もう1度胸のなかで復唱してもらいたい。
ANAグループは2020年の東京五輪に向けて、「お客様満足と価値創造で世界のリーディングエアライングループになる」ことをめざしている。これまで幾度となくさまざまな困難に出会い、そのたびに全員が力を合わせて苦難を乗り切ってきた。この不撓不屈の精神、チャレンジ精神こそがANAグループのDNAだ。今日ここに集う皆さんは、所属会社は別でも、仕事の繋がりのある仲間であることを胸に刻んで欲しい。
ANAグループは社員1人ひとりの多様性を尊重する。入社式に臨んだ初心を忘れずに、ANAグループの一員であることの誇りと責任を大切に、小さな一歩から確実に歩み始めて欲しい。
JALグループ:1668名入社
日本航空代表取締役社長 植木義晴氏
新入社員の皆さんにこの巨大な整備ハンガーにお越しいただき、入社式を開催できることを嬉しく思う。今から5年前に、我々は5ヶ年の中期経営計画を策定した。経営破綻後に作った初めての計画で、計画には「高収益体質を確立し、新たな成長のステージへ」という副題があったが、先週の金曜日には、素晴らしい業績で計画を完走し、全員でテープを切ることができた。今こそ新しい成長に向かって歩み出す時が来たと考えている。
一般的に、成長とは規模や売上高を競うものだと思われているが、我々がめざすのは企業理念の達成で、世界で最も選ばれ、愛される航空会社になることだ。そのためには社会にとって価値のある会社でなくてはいけない。社会的価値を伴う会社、平たく言えば世のなかの役に立てる会社になることこそが、我々にとっての成長であるということを、肝に銘じていただきたい。
今日の世間では、多様性が非常に重要と言われているが、入社した皆さんは、その多様性の一員と言える。入社した時でなくては気づけないことを、必ず声に出してもらいたい。我々は必ずその声に耳を傾けることを約束する。
皆さんが持っている無垢な心、旺盛な好奇心、そして燃えたぎるような情熱、それこそが今のJALグループにとって最も大切なものなので、それぞれ個性を失わず、夢を忘れず、今日のきらきらとした目の輝きを絶やさないでほしい。私はその夢の達成のために必ず先頭に立つことを約束するし、私がふと後ろを振り向いた時には、必ず皆さんがついてきてくれていると信じている。