トップインタビュー:コスタクルーズ日本支社長の糸川雄介氏
16年日本発着クルーズは好調に推移
17年は期間延長、変動制“風”料金に挑戦
-今年のクルーズから見えてきた課題や改善すべき点はありますか
糸川 見つかった課題はすぐに改善した。たとえば、ディナーの注文の際の言葉のハードルを下げるために、レストランの入口に料理のサンプルを並べ、席で注文する際にはウェイターにサンプルにつけた番号を書いて渡す方法を取り入れた。
来年の課題は日本語を話すスタッフの増加やスキルの改善だ。今年の日本発着クルーズでは、従来は15名から20名程度だった日本語を話すスタッフを、さらに20人追加した。来年はクルーズの運航期間が長くなることもあり、具体的な人数は未定だが、お客様1名あたりのスタッフ数を増やす計画だ。
-17年の日本発着クルーズではコースも増やされていますね
糸川 日本海側の地域をクルーズデスティネーション化したいと考えている。日本海側は沿岸部の交通網が未成熟で、独立している都市が多いためクルーズにとっては好都合で、魅力的なコースが造成できる。また、日本海側はアジアにも近い。訪日旅行市場のリーダーである韓国、台湾、香港の旅行者は大阪、福岡、東京へは行ったことがあっても、日本海側の中小規模の都市には行ったことがない人も多い。そういう層の取り込みも可能だろう。
カジュアルクルーズの基本的なターゲットは老若男女だが、来年は女性をターゲットにする。夏休みやゴールデンウィークは母親を中心とした家族や3世代、女性を軸としたシニアの夫婦、母娘、女子旅などに期待している。来年のクルーズでは、我々の船のなかでもプレミアム感のある、ワンランク上の客船「コスタ ネオロマンチカ」(約5万7000トン、乗客定員1800人)を導入するので、女性受けがいいと見ている。
「コスタ ネオロマンチカ」の日本就航は初めて。運航期間が長くなるため、グレードの高い船の方が日本人には適していると判断した。「コスタビクトリア」よりも小さいが、寄港できる港が一気に増えるため、コースの魅力も増すだろう。
-18年度以降の運航計画についてお聞かせください
糸川 17年度と同程度か、さらに運航期間を伸ばすことも検討していく。基本は16年と同じ、定期的に同じ港を周る定点型クルーズだが、日本発着でも長期間のクルーズができないか考えていきたい。