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上期の海外旅行、需要の早期取込に注力-ホールセール特集(1)

  • 2016年3月24日

仕入環境の変化を踏まえ、代金変動型商品が登場
特典強化で早期予約を取込

国内旅行との競合激化も円高などに期待

日本旅行の阿部氏 近年の海外旅行市場の低迷の原因として、テロをはじめとする政情不安、円安などの外的要因が挙げられている。特に、15年11月に発生したパリでの同時多発テロ事件は、フランスだけでなくヨーロッパ市場全体に影を落としている。また、4月と5月の燃油サーチャージがゼロになるという好条件もあるが、全体的に航空座席やホテル、現地ランド費用も上がっているようだ。

しかし、JTBWVの井上氏は「為替レートがある程度の円高で安定すれば、海外旅行も復活していく」と発言。今後の世界の為替市場の動きがカギになるとの考えを示す。また、日本旅行の阿部氏は、「円高はショッピングの動機につながることから、特に女性の海外旅行を後押しするきっかけになる」と期待を込める。

 一方で、海外デスティネーション同士の競合と同時に、「ハワイやグアム対沖縄」など「海外旅行対国内旅行」という競争の構図もますます強くなってきたと指摘するホールセラーもいる。訪日外国人が増えるなか、日本の観光地の露出が増え、日本の魅力を日本人が再発見する機会も増えてきた。さらに、「国の地方創生の動きも国内旅行を後押ししている」(日本旅行の阿部氏)という。

 こうしたなか、ホールセール各社は市場の動向と販売戦略に即した目標を立てている。JTBWVの16年度の目標人数は、全方面で前年度を上回る前年比11%増の125万人とした。

 KNT個人は、16年の販売額と販売人員の目標をともに5%増に設定。今年は商品数を前年比で1割程度増やし、売上高の増加を目論む。日本旅行は16年度上期の目標人数として、18%増の9万4500人をめざす。このうち、主力のヨーロッパは4%減の2万5000人とした。東武トップツアーは、16年の目標人数として29%増を掲げた。なお、15年は訪日旅行の増加で航空座席の確保が厳しかったことや、ウェブ販売の競争激化などにより14年比35%減だった。

 航空系ホールセール2社の上期の目標人数は、ジャルパックは3%減の10万1000人。ハワイ路線での日本航空(JL)の機材仕様の変更による座席数の減少や、昨年秋の大型連休からの反動などを考慮した。一方、ANAセールスは38%増の9万2100人で、シドニー線の開設などからオセアニアで40%増を見込む。