旅行市場の鍵は女性や一人旅、付加価値のある旅を-JTB総研セミナー(2)

  • 2014年10月2日

付加価値のある「ちょっといい旅」人気
女性の一人旅に変化の兆しも

潜在性高い「一人旅」、SNSによるコミュニケーションも重要

マーケティングライターの牛窪恵氏 現在、「一人旅」は旅行市場のキーワードのひとつとなっている。牛窪氏は、20代、30代女性の86%が「おひとり様」行動を経験しているというデータを紹介しつつ、「女性の一人旅の意味が変わってきている」と発言。90年代から女性の社会進出が活発になり、未婚女性も増加した。現在では、スマートフォンの登場によって、より一人で隙間時間を過ごせる方法を探せるようになった。牛窪氏は「一昔前は、女性の一人旅を断る旅館も多かったが、今は大きな市場。プチ留学など理由付けがあると、女性の一人旅はもっと増えるだろう」とつけ加えた。

 村瀬氏は、「一人旅で重要なのはコミュニケーション。事業者としてSNSなどのネットの利用法も大切になってくる」と指摘。ウィラーでは、スマホによるサービスとして動画クチコミを組み込んだ「マイタビマップ」を開始したことを紹介した。

JTB総合研究所主席研究員の黒須宏志氏(手前) また、牛窪氏は今後伸びると予想される「おひとりさま」市場に言及。30代後半から40代後半の「団塊ジュニア」の女性について、「結婚しても一人の時間が欲しい世代。家庭から開放されたい願望がある」と、一人旅の潜在性が高いと指摘した。また、「団塊世代」については、「旅と趣味に意欲が高い。学びをキーワードに女性だけでなく男性の一人旅も需要があるだろう」と示唆。さらに、団塊世代では「たとえば結婚して近くに住む娘と孫との三世代旅行にも伸びしろがある」と付け加えた。

 このほか、世代別の傾向として、50代前半から後半の女性は「一人旅への憧れは強い。一人の人間として成長したい意欲がある」と分析。バブル世代の女性は「若い時に海外旅行を経験した人が多く、今では秘境への引きが強い」とした。また、「草食系」あるいは「さとり世代」と呼ばれる20代後半から30代後半にかけての層は、「隙間時間を要領よく埋める。思い立った時に行ける旅に潜在性があるのではないか」と指摘した。

取材:山田友樹