地方航空路線、航空会社と地域がともに育成を-国政研シンポ

  • 2014年7月22日

LCCなどによる需要喚起に期待
双方向交流で路線の維持を

ピーチ、地方路線開設に意欲

MM総合企画部部長の遠藤哲氏 LCCを代表して登壇したピーチ・アビエーション(MM)総合企画部部長の遠藤哲氏は、地域活性化においては新たな箱モノの設置やイベントの企画が奏功する場合もあるが、伴うリスクは大きいと指摘。一方で、「外部の人間から『面白い』と思われるような素材は既に沢山ある」とし、その発掘やブラッシュアップ、発信に注力する方が賢明との見方を示した。

 MMでは、魅力的な素材の発信されているデスティネーションであれば、「大手の航空会社では手を出しづらいところでも路線を拡げたい」考え。遠藤氏は「道東などに路線を開設することも、難しいことではない」と述べるとともに、「既に幾つかの自治体とも話し合いを進めている」と伝えた。


今後は航空会社と地域による育成がカギに

国土交通政策研究所所長の後藤靖子氏 東京大学航空イノベーション総括寄付講座特任准教授の飯塚秋成氏  国土交通政策研究所所長の後藤靖子氏は、「地方航空路線といえば自治体が懸命に誘致活動をし、陳情をし、補助金も用意し、という構図があるようだが、そもそも路線は“誘致する”ものなのか」と問題提起。「そういう構図の中だけで考えていると、お互いに知恵を出し合いながら需要を喚起していく環境にはなりづらいのでは」と指摘し、地方路線の維持と拡充のためには、航空会社と地域が一緒になって路線を育てる視点を持つ必要があると強調した。

 そのほか、東京大学航空イノベーション総括寄付講座特任准教授の飯塚秋成氏は、米国で主要航空会社の地域間運航を専門に受託しているスカイウェスト航空(OO)の例を挙げ、「OOを模したモデルが日本でもできないものか」と提案。日米間では需要のあり方や労働環境などに違いがあるものの、地域航空会社の設立や、路線の開設および維持などについて、新たな可能性が開けることに期待した。