地方航空路線、航空会社と地域がともに育成を-国政研シンポ
LCCなどによる需要喚起に期待
双方向交流で路線の維持を
茨城空港、双方向の地域交流が重要
地方自治体を代表して登壇した茨城県国際課課長の清瀬一浩氏は、2010年に民間供用化された茨城空港の現況について報告した。コンパクトなターミナルビル設計などにより、航空会社や利用者の負担軽減に努めた結果、同空港は2011年にセンター・フォー・アジア・パシフィック・アビエーション(CAPA)の「ローコスト・エアポート・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、就航路線や便数も年々順調に拡大。清瀬氏は「航空会社には使い勝手を感じていただけている」とし、旅客数も増加傾向にあると伝えた。
しかしその一方で、昨年度末に実施した世論調査では、県民の9割が同空港を利用したことがないという「衝撃的」な結果が出たことを報告。「県民が路線の就航先に行かないことには、就航先の人々にとって茨城県が身近なものにならない」と懸念を示した。今後については、インバウンド拡大や路線維持の観点からも双方向の地域交流が必要になるとし、「県単位の利用促進を真剣に考えないといけない。我々ができることはまだまだあると思う」と語った。
宿泊施設も路線維持に協力
北海道の道東エリアなどで温泉旅館を展開する鶴雅グループのアジア・東日本エリアマネージャー取締役を務める大西希氏も、地域活性のためには双方向の地域交流が必要になると強調。トランスアジア航空(GE)の釧路/台湾(桃園)線が5月に休止された背景には、「99%が台湾からの利用客で、道民は全く台湾に行っていなかった」ことがあるとし、「北海道はずっとブランドに甘えてきて、来てもらうことばかりに懸命になっていた。反省している」と振り返った。
大西氏は、2016年に北海道新幹線が新函館北斗駅まで開通するものの、函館/道東間の航空路線がない現段階では、「陸路で8時間半もかけて釧路に足を運ぶ方は少ない」と説明し、危機感を露わにした。また、「釧路は今後20年で人口が40%減ると言われている。私達にとっては流動人口を増やすことが死活問題」とも述べ、「今後は航空会社と協力体制を組んで、一緒に路線を育てる気持ちを強めたい」とアピール。地方航空路線の開設や維持に、宿泊施設の側からもサポートを試みる考えを示した。