トップインタビュー:香港政観日本局長の堀和典氏
「食」テーマにプロモーション強化
店頭スタッフ向け「FIT FAMツアー」も検討
-領土問題の影響はどのようにご覧になっていますか
堀 去年の9月までは日中間の影響を色々と受けていて、渡航を控える人もいたと思うが、10月から12月の日本人訪問者数は平均9%増。しかも、その中で宿泊を伴ったのは10%増、さらに宿泊を伴う観光目的は13%伸びている。かなり戻ってきているといって良いと思う。
他のアジアの国々については何もいえないが、香港についてはまず行政自体が独立しており、一国二制度が確立している。また、歴史的、文化的、習慣的な背景もあると思うが、香港人は西洋的、合理的にものを考えている。
このため、そうした問題が長期的に影響するということはない。日本市場で香港という地域をきちんと理解してもらえれば、一時的なマイナス要因に流され続けるということはない。必ず戻る。一つの良い例は、2013年に香港からのインバウンドが50%拡大したこと。親日であることの証明といえるだろう。
-尖閣問題の発生前後で旅行者の動きに変化は出たでしょうか
堀 一つ変わったのは、香港はリピーターが57%、ファーストタイマーが43%だが、この1、2年はファーストタイマーの数字が落ち、リピーターはそれほど大きく変化していない。なぜかというと、リピーターは香港を知っている。必ず戻ってくる理由がある。
ところがファーストタイマー、あるいはしばらく行っていない人は、香港の優位性がぼやけている。そうすると不安定な時期だから控えようとする意識が働く。それが一番大きな傾向ではないかと思う。
-今後のプロモーションでターゲットになるのはどちらの層でしょうか
堀 ファーストタイマーだ。海外旅行の経験はあるが香港は初めて、あるいはしばらく来ていない人。
戦略的に、香港はとても良いイメージを得ており、香港が観光デスティネーションであることは日本人全員が知っているといっても過言ではないはず。興味も高く、いつか行ってみようと思っていただけているだろう。
しかし、この「いつか」が課題だ。特にファーストタイマーには、競合するデスティネーションが多数ある中で香港を選んでいただけていない。はっきりとした香港の優位性が見えていないためだ。
-ターゲットの具体像をお聞かせください
堀 2013年の数字を見ると、30代から40代がコアの層。男女差はないが、我々がターゲットにするのは女性、特に働く女性だ。香港はショートブレークのデスティネーションであり、2、3泊、それこそ1泊でも行ける。働く女性が忙しい中でも、自分の目的を持って行って帰ってくることができる。
ターゲットとしては、未婚、既婚はどちらでも良いが、できれば子どもがいない方。子どもがいるとライフステージが変わってしまう。主に30代から40代くらい、特に30代のファーストタイマーをターゲットにしていくのが我々の戦略だ。