トップインタビュー:日経カルチャー代表取締役社長の西尾敏宏氏

日経の文化的テーマ性とブランド力、阪急の販売力が強み
宣伝活動強化、参加者の幸福度向上で支持される会社へ

-具体的に、日経カルチャーの強みである商品力の特徴は

西尾 阪急交通社を含め、他の旅行会社では造成できないような商品が多くある。その典型的な例が、今年3月から9月まで東北3県で開催される、近世日本画家・伊藤若冲の特別展「プライスコレクション江戸絵画の美と生命 若冲が来てくれました」を訪れるツアーだ。

 若冲の世界的コレクターであるアメリカ人のプライス夫妻が、東日本大震災の被災地の子供たちを元気づけたいという意向で実現した展覧会で、弊社のツアーではプライス夫妻にご自身が大切にされているコレクションへの思いも含め、じっくりと解説していただく企画となっている。展覧会を主催する日本経済新聞社の協力を背景にした付加価値の高い商品だ。今後も、文化美術に造詣が深い日本経済新聞社とのコラボレーションも切り口の一つとして、お客様にご案内していきたい。 


-ご着任から約半年がたちました。振り返ってのご所感とその後の変化を教えてください

西尾 まずは縮小していた宣伝活動を広げている。せっかくの良い商品をリピーターの方々だけの案内に留めることのないよう、今まで弊社を知らなかったお客様への案内を意識し、ウェブサイトを立ち上げてオンライン上での商品紹介を開始。外媒体という意味で日本経済新聞の夕刊にも積極的に出稿した。その結果、4月から6月の国内旅行は前年の約1.5倍の集客数になっており、7月から9月はその勢いが増している。

 広告宣伝活動はセオリーを持って展開しているので、それに基づいたものであれば日経新聞や、まだまだ手付かずの日経グループ各社の媒体を皮切りに、それ以外の媒体にも積極的に出していきたい。それくらいの勢いがないと厳しいと思う。他の媒体のお客様にも弊社の商品をご案内し、その方々にもご満足いただきたいという気持ちが強ければ、自然とそういう流れになると思う。


-販売面では取り組みを開始されていますが、商品に手を入れるご予定はありますか

西尾 これまで宣伝コストを抑えてきており、リピーターの新陳代謝が不十分なところがある。新しいお客様に入っていただき、ツアーの催行率を高めていきたい。また、知的欲求のある方がお金持ちとは限らない。もう少し裾野を広げられるよう、値段を少しリーズナブルにすることも課題だと思っている。

 そのひとつの選択肢として、第2ブランド商品の造成、販売も考えられる。もちろんこれは、現在の当社ファンの方々にしっかりと信頼を頂いた上でスタートすることが重要だと思っている。