ブームの兆し、「産業遺産」(2)富岡製糸場(群馬県富岡市)
「産業遺産」がそのものズバリ観光スポットになっている例は、それほど多くない。これまで、費用がかかるために自治体が保存や管理に積極的でなかったことが大きな理由だ。とはいえ、観光スポットとして、しっかり人を集めているところもある。その代表が群馬県にある富岡製糸場だ。日本史の教科書で明治初期の「殖産興業」の項を見ると、必ず登場する錦絵。巨大なレンガ造りの建物に大きな煙突から吹きあがる煙、あるいは巨大な工場内にずらっと並ぶ女工の姿。きっと誰でも一度は目にしたことがあるだろう。それが明治5年(1872年)に建...