地域に分け入るJAL社員たち~岐阜県高山市編~
客室乗務員や業務企画職など、幅広い職種の社員が各都道府県の自治体等に出向している日本航空(JAL)。シリーズ「地域に分け入るJAL社員たち」では、出向者と自治体の担当者、それぞれの目線で地域の魅力や課題、相互への期待などを語っていただくことを通して、ポストコロナに向けた地域創生を考えていく。
江戸時代の趣を感じられる町並みが残る飛騨高山。日本で唯一主要建物が現存する高山陣屋や、絢爛豪華な祭屋台が圧巻の高山祭など、歴史的な魅力に国内外から注目が集まる一方、人口減少や若者の流出、空き家・空き店舗の増加など、地方都市ならではの課題も抱えている。高山市では、働きやすい環境づくりや人材育成に加えて、企業の誘致や起業の支援、中心市街地の活性化に力を入れている。
岐阜県高山市
商工労働部 雇用・産業創出課 新産業創出戦略マネージャー 木村浩幸さん
まず実感したのが高山市の広さです。面積は東京都と同じくらいの日本一広い市です。市内には道の駅が全部で8か所あります。先日、市内を100km走破する「飛騨高山ウルトラマラソン」が3年ぶりに開催されましたが、まさに広大な高山市ならではと感じました。奥飛騨温泉郷をはじめとする温泉や、雄大な山々に加え、春・秋の高山祭、伝統息づく古い町並みなど歴史文化の魅力にもあふれています。飛騨牛、高山ラーメン、漬物ステーキなどの飛騨高山グルメも満喫中です。ただ、太平洋側育ちの私に冬の寒さはこたえました(笑)。
個人的に好きな風景は、市内の中心部を流れる宮川からの風景です。有名な朱色の中橋や大きな鳥居が建っている宮前橋、ライトアップが美しい行神橋など、見所がたくさんあります。新鮮な野菜や果物、花などの小店が並ぶ飛騨高山宮川朝市には観光客だけでなく地元市民も訪れます。河川敷では休憩もでき、心地よい川の音とゆったりとした澄んだ川の流れに、日々癒されています。
若者の地元離れや生産年齢人口の減少により、市内の産業を担う人材が年々減っています。誰もが働きやすい環境づくりや高山では少ないクリエイティブ人材の育成、確保に努めるとともに、雇用機会の創出と地元企業への就労促進のため都市部企業のサテライトオフィス進出に向けた誘致活動に力を注いでいます。また市内での起業を促進するための創業者支援やインキュベーション施設の活用も推進しています。
また、中心市街地エリアの魅力と価値を高め活性化を図ることも課題のひとつです。観光まちづくりの視点で、まち歩きの楽しさを高めるため中心市街地の利便性や回遊性の向上、にぎわいのある商業空間の創出など、魅力ある中心市街地づくりに努めています。その1つとして、まちなかに今年4月に「にぎわい創出施設」をオープンさせました。この施設を市民や観光客が集い、つながる新たなまちづくりの交流拠点にしながら、今後もまちの魅力発信を続けていきます。