【発行人コラム】旅行に関わる価格の話と、或る社長のnoteに関して

  • 2022年6月29日

 物価が上がっている。原材料や光熱費等の製造原価が上がれば、価格を上げるか、より沢山売るか、効率を上げるか、赤字を垂れ流すしか選択肢は無い。

 その中で値上げを選択出来るか否かは、基本的には提供する商品の価値、他社価格との差などが分岐点となる。ただし、消費者が値上げを受け入れるかどうかに関しては、高くても買いたい、買わざるを得ないといった理由以外に「納得」出来るかどうかの要素も大きいと思われる。

 値上げに踏み切った回転寿司は来店者数は減らずに売上が伸びたと聞く。勿論その店の寿司が値上げした価格にも見合う質だと言うことも有るだろうが、インタビューに答えた来店客は「鮮魚の仕入値や光熱費が上がっているのでしょうが無い、これからも来るよ」と答えている。

 要するに、寿司を提供するために必要な諸々の原価が高騰していることを知っている。

 旅行に置き換えて見るとどうだろう。国際航空運賃や燃油サーチャージ高騰に関しては、原油が上がっている事をマスコミによって刷り込まれているから、致し方無いと思う方が少なくない。一方で手配を担う旅行会社ではコロナ禍中の今、何倍もの手間と時間が掛かっていることが報道されることは無く、誰も知らない。

 出入国に関する情報も日替りの今、特に業務渡航系の旅行会社には多くの問い合わせが来ていると聞くが、情報収集の手間は数倍、変更やキャンセル率も高く、仕事は格段に増えたが収支は全く合っていないのが現状かと思う。

 これは一例に過ぎないが、こういった事情を知らしめる努力と手数料を適正価格に値上げする判断が必要なのだろう。それをして、そっぽを向かれるのなら、必要とされていない、自分たちが行っている業務に対して相応の価値と納得を得られないのだと潔く認め、サービスやお客様を変えるしか無い。

 このコラムにて「全国旅行支援制度」に関しても書こうと思っていたが、知人がnoteにて公開している記事(「GoToから続く、大手旅行会社優遇」)が代弁してくれているので、そちらをご覧下さい。

岡田直樹
㈱エフネス代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人。27歳でエフネスの前身㈱ルゥエストを創業し、32周年にあたる今年に至る。旅行素材のホールセール、観光関連企業への決済サービス提供、緊急対応代行、業界誌トラベルビジョン運営等々、主に観光産業内のB2B事業に携わる。
㈱ティ・エス・ディ代表取締役、一般社団法人インバウンドデジタルマーケティング協議会理事、㈱ミックナイン社外取締役​