HIS、中間期は過去最大の純損失269億円も、「いい兆候たくさん」
エイチ・アイ・エス(HIS)が6月13日に発表した2022年10月期第2四半期累計期間(2021年11月1日~2022年4月30日)の決算で、売上高は684億9100万円、営業損失が281億3000万円、経常損失が281億1100万円、純損失が269億1100万円となった。純損失の額は過去最大。
今年度から会計基準を変更しているため、旧会計基準で今期の実績を集計すると売上高が前年比57.4%増の1022億7500万円となったほか、営業損失も34億600万円改善して282億6300万円、経常損失は24億800万円改善して282億4400万円となった。一方、純損失は34億4900万円増えて270億4600万円であった。
売上高の回復は国内外の旅行需要の回復を受けたもので、旅行事業は104.4%増の538億6000万円。このほか、テーマパーク事業が20.0%増、ホテル事業が36.8%増、九州産交グループが5.0%増と前年を上回り、エネルギー事業も36.2%増となった。
一方、営業損益ではテーマパーク事業のみ1億7400万円の黒字を達成。またこれ以外でも旅行事業が37億900万円改善するなど大半の事業で前年から回復したが、エネルギー事業が16億5700万円押し下げた。なお、純損失の拡大の一因は、エネルギー事業の子会社だったHTBエナジーの売却に伴う損失見込額30億円。
旅行事業の部門別取扱高では、海外旅行が169.1%増となったほか国内旅行も23.9%増。訪日旅行は100.7%増で、さらに海外法人が扱う現地へのインバウンド事業は143.9%増、海外法人によるアウトバウンド事業は往来再開と需要回復が先行しているため512.1%増となった。
組織改革・コスト削減のうち、グループの従業員数は2019年度には1万7282人(うち旅行事業1万2283人/非旅行事業4999人)であったところから2021年度には1万3975人(同9116人/4859人)、1万2151人(同7222人/4929人)としており、旅行事業で約5000人を削減。また、旅行業の営業拠点の数も531(日本265/海外266)から2021年度は343(同162/181)、2022年度は307(145/162)とした。
海外旅行立て直しで反転攻勢へ
今後の成長に向けた方針について代表取締役会長の澤田秀雄氏は、「海外旅行市場を立て直して反転攻勢に移っていきたい。圧倒的なV字回復と海外旅行ナンバーワンの確立を目指す」とコメント。コロナ禍で力を入れてきた国内旅行もにも引き続き注力し、海外に並ぶ事業の柱に育てたい考え。訪日も地方自治体や観光施設との連携強化、国内仕入れ強化による商材の充実に取り組む。
また、現在は4店舗の「秀そば」について将来的に100店舗規模への拡大を目指すなど非旅行事業も強化。人材派遣や農業、商社サービス、海外での物販、薄型太陽光パネルの研究開発などにも取り組む。このほか、オンライン旅行相談や店舗でのビデオチャット接客などテクノロジーの活用やDXも推進する。