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スペインとカタルーニャ州、現地視察を報告「観光は再開、欧米からの旅行者は回復」

  • 2022年5月30日

 スペイン政府観光局とカタルーニャ州政府観光局は、4月と5月に実施された現地視察の報告会をおこなった。スペイン政府観光局では今後の日本市場に対するリカバリー政策として、歴史や文化、建築、グルメなど多様なスペインの魅力を改めて発信していくとともに、旅行会社に対してはワークショップや研修旅行も積極的におこなっていく方針だ。

旅行会社5社が現地を視察、入国審査もスムーズ

 スペイン政府観光局が4月18日~26日に実施した研修旅行は、マドリッド、サンセバスチャン、ビルバオ、バルセロナなど消費者からの人気の高い都市の訪問が設定され、東京からはワールド航空サービス、ユーラシア旅行社、三越伊勢丹ニッコウトラベルが、大阪からはエイチ・アイ・エス関西、阪急交通社西日本の計5社が参加。入国審査や帰国時に必要なPCR検査を実体験し、セミナーでその様子を報告した。

 入国審査については、ツアー実施時はワクチン接種証明書と同国のオンラインによる健康状態申告書「SpTH」で取得したQRコードが必要で、「入国にかかった時間はわずか15分ほど」「久々の海外旅行で気負っていたが、拍子抜けするほどスムーズだった」という感想が語られた。また4月20日から同国ではマスク着用義務が撤廃され、「街は解放感にあふれ自由な雰囲気」「どこへ行っても活気があった」一方、「バルのピンチョスなどはガラスケースに陳列されていた」など、衛生にも配慮されている一面も報告された。

 帰国時のPCR検査は現地オペレーターに全て依頼。検査は30分ほどで内容のチェックや日本入国時に必要な書類作成まですべておこなわれたうえで、完成した書類が個人のメールに届くシステムで「煩わしいことはなかった」という。

 またカタルーニャ州政府観光局では「グランツアー・カタルーニャ」として、ラグジュアリー旅行をテーマに5つのコースを設定。今回はスペイン政府観光局のスタッフがコスタブラバからバルセロナまでの視察ツアーに参加し、チョコレートの工房やワイナリー、ミシュランの星付きレストラン出の食事や5つ星ホテル「カサ・フステル」や「マジェスティック」の滞在などを紹介した。

スペイン北部や島もPR、20代若年層を対象にプロモーションを強化

 スペイン政府観光局プロモーションマネージャーの風間裕美氏によると、「スペインの観光旅行はすでに再開しており、欧米の観光客数はコロナ禍前の数字に戻ってきている」という。今後は日本市場に対しても、コロナ禍によるブランクを埋めるべく、プロモーション活動に取り組んでいく考え。具体的なデスティネーションとしては研修旅行でも取り上げたマドリッド、バルセロナ、サンセバスチャンといった人気都市に加え、注目の高まっているバスク州やガリシア州といった北スペイン、歴史的建造物の宝庫として知られるアラゴン州のサラゴサやウエスカ、成熟したリゾート地カナリア諸島などの周知も図っていく。

 旅行会社に対してはこれら地域を含めファムトリップの実施や、スペインからのサプライヤーとのワークショップも企画している。また一般消費者に対してはSNSを通して歴史・文化やグルメ、サッカーなど多様な魅力を発信し、特に20代の若年層に対してのプロモーションを強化すべく、現在PR動画の制作などを準備中だという。「現在スペインへの入国時に必要な書類はワクチン証明書、回復証明書、陰性証明書のいずれかとSpTHのみ。旅行市場再開に向け、旅行会社に対するスペインについての知識や魅力を深める研修なども積極的に行っていきたい」と風間氏は語っている。